医学・疫学情報// 法律/ 報道・公的情報/ 症状/ (新型コロナウイルス感染症についての相談の目安/治療法/ウイルス検査)/ 予防/ (感染拡大の流れ/集団感染しやすい条件/クラスター発生が多い場所/感染リスクを高めやすい場面/感染リスクが高まる「5つの場面」/接触感染予防策/飛沫感染予防策/ワクチンの種類)/ 感染状況に応じて講ずるべき施策/ (分科会指標/感染拡大対策ガイドライン/クラスター対策/接触機会の軽減)/ 補償・給付金/Go To
2019年12月に中国の武漢で原因不明の肺炎が報告され、2020年1月7日にその原因が新型のコロナウイルス(SARS-CoV-2)だと特定されました。日本でも2020年1月16日に初感染者が見つかり、1月27日には新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が指定感染症に指定されました。
国内の感染者数は約81,000人、死者は約1500人(2020年9月27日時点)です。蔓延状況や新型コロナウイルスの情報は時々刻々と変わっていきますので、公式サイトで新しい情報を得ていきましょう。
医学・疫学情報
(日本感染症学会)新型コロナウイルス感染症臨床対応・症例報告
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報について国立感染症研究所。疫学・検査情報
Principles of Epidemiology: Home|Self-Study Course SS1978|CDC
新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査(2020年4月時点)/(2020/7/16現在)/(2020年10月26日現在)
日本内科学会雑誌:新型コロナウイルス感染症特集(2020年11月10日発行)
SARS-CoV-2新規変異株
D614G(欧州株)2020年1月下旬頃〜流行SARS-CoV-2 D614G variant exhibits efficient replication ex vivo and transmission in vivo
VOC-202012/01(B.1.1.7 英国株)2020年9月20日頃〜流行。
501Y.V2(南アフリカ株)2020年8月上旬〜流行感染性の増加が懸念されるSARS-CoV-2新規変異株について (第4報)(2021/1/2)
法律
報道・公的情報
(厚生労働省)新型コロナウイルス感染症について国民のみなさま向けの情報・国内の発生状況
(内閣官房)新型コロナウイルス感染症対策新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の概要、基本的対処方針、対策本部等資料
首相官邸 新型コロナウイルス感染症に備えて 〜一人ひとりができる対策を知っておこう〜3つの密を避けるための手引き、布マスクの全戸配布に関するQ&A、生活と雇用を守るための支援策
新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会資料
WHO Coronavirus disease (COVID-19) Pandemic
NHK 新型コロナウイルス特設サイト最新ニュース、ウイルスの特徴・対策の解説
症状
感染が確認された症状のある人の約80%が軽症。初期症状も発熱・咳・倦怠感・痰・嗅覚障害・味覚障害・息切れと特別なものはない。感染しても症状が出ない人も多く(4割程度)、軽症でも急に重症化(肺炎)するケースもある。高齢者や基礎疾患のある方が重症化しやすい。肺炎のほかに血液や血管の障害が現れることがある。またサイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応に重篤な臓器障害を起こしたり、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という重度の呼吸不全を起こしたりする。
潜伏期間は1〜14日(一般的には5日)。感染力に症状の重さは関係なく発症の3日前から発症後5日くらいに人への感染力が強い。感染者の8割は人への感染させていなくて残りの2割がリスクの高い環境において多くの人に感染させている。
症状、予防、経過と治療… 新型コロナウイルス感染症とは? 現時点で分かっていること(9月13日時点)
新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(9月25日UPDATE)
Incubation period of COVID-19: a rapid systematic review and meta-analysis of observational research
新型コロナウイルス感染症についての相談の目安
少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、すぐに御相談ください。(これ らに該当しない場合の相談も可能です。)
息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかが ある場合
重症化しやすい方(高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)等の基礎疾患がある方や透析を受けてい る方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う 場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
治療法
2020年9月現在、対処療法のみ。効果がありそうな抗ウイルス薬、抗炎症薬が見つかりつつある。確たる治療法や効果的なワクチンが開発されるまで、医療崩壊しないように感染者数を増やさない戦略をとる。
新型コロナ治療薬の現在 結局レムデシビルは効くのか?トランプ氏に使われたモノクローナル抗体の効果は?
ウイルス検査
PCR検査
polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)DNAの一部分だけを増幅して少量でも検査できる。ウイルス分離とは違い不活性ウイルスも検出される。また少量を増幅するため、他人に感染させるのに十分なウイルス量があるかもわからない。
PCR検査の感度は30〜70%、特異度90〜99%と言われている。感度は、陽性を正しく検査できる確率、特異度は陰性を正しく検査できる確率。感度が低いため有病率が低いと精度が悪いため、感染している可能性が高い患者を検査することが重要。
抗体検査
抗体は特定のウイルス等(抗原)を認識して結合するたんぱく分子。リンパ球のB細胞が生成。抗原に抗体が結合すると不活化させたり免疫細胞の目印になる。主に感染初期に作られるIgMと感染後期に作られ所謂(免疫)と呼ばれるIgGの二種類がある。抗体にはウイルスに効果があるもの、全く効果がないもの、ウイルスの手助けをするものの3種類がウイルスによって特異的に作られる。
迅速検査。抗原(ウイルスの一部分)を添加した検査キットに血液を滴下して、抗原と抗体が結びつくと色が変わり肉眼でわかる定性検査。免疫を獲得しているかの検査の場合、効果がある抗体を検査できるか、似た種類のウイルスの抗体ではないか注意する必要がある。
抗原検査
抗原はウイルスやその破片などの抗体ができる元。インフルエンザのような迅速診断キットは、検査キットに人工抗体がつけてあり、抗原と抗体の結合を検出する。
検体は鼻咽頭ぬぐい液・唾液。定量検査と簡易キットがあり、簡易キットと発症から10日以上経過した場合は唾液で検査は推奨されていない。
予防
感染経路
感染経路は接触感染と飛沫感染。感染しやすい環境(3つの密[密閉・密集・密接])では飛沫より細かい粒子(エアロゾル)が広範囲・長時間漂い、エアロゾルを含んだ空気を介して感染をする。主な感染経路は飛沫(エアロゾル)感染で、接触感染は限定的。
science Quantifying SARS-CoV-2 transmission suggests epidemic control with digital contact tracing
日本環境感染学会教育ツールVer.3(感染対策の基本項目改訂版)
感染拡大の流れ
若者が感染に気付かずに多くの人に広げ、高齢者施設や医療機関で重症者しやすいに感染し、症状がでて感染が発覚。海外や感染リスクの高い場所から感染の防ぎにくい場所へ広がる。
移動・行動が活発な若年層(10代後半-50代)でクラスター連鎖し拡大。若年層は重症化しにくいので感染が潜在化しやすい。
感染リスクの高い密接な接触を伴う飲食店(風俗店)で感染が拡大。店名をいいづらい等の理由でリンクがわかりづらく感染拡大を防ぎにくい。
無症状でも感染力がある点、このような生物的・社会的理由により感染が把握しづらく、感染拡大につながりやすい。クラスターの連鎖が起こること。非常に大規模なクラスター(メガクラスター)が起きてしまい、そこから2次的に多くのクラスターが生まれる状況。
集団感染しやすい条件
「換気の悪い密閉空間)」 「多くの人が密集」 「近距離での会話や発声(密接)」の3つの密(3密)。 その対策は、 「こまめに換気を行う(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)」 「人の密度を下げる(互いの距離を2メートル程度あける)」 「近距離での会話や発声などを避ける(やむを得ない場合はマスクをつける・短時間で済ませる)」クラスター発生が多い場所
接待を伴う飲食店病院
カラオケを伴う飲食店
職場(会議)
スポーツジム
バスツアー
高齢者施設
家庭内
感染リスクを高めやすい場面
飲酒を伴う懇親会大人数や深夜におよぶ飲食
大人数やマスクなしでの会話
仕事後や休憩時間
集団生活
激しい呼吸を伴う運動
屋外での活動の前後
人の移動に関する分科会から政府への提言 令和2年9月25日(金)
感染リスクが高まる「5つの場面」
飲酒を伴う懇親会等大人数や長時間におよぶ飲食
マスクなしでの会話
狭い空間での共同生活
居場所の切り替わり
分科会から政府への提言 感染リスクが高まる「5つの場面」と「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」 令和2年10月23日(金)
接触感染予防策
接触感染は物や体についていたウイルスを手で触り、その手で鼻や目や口を触ることによっておこる。手洗いやアルコールによる手指消毒、不潔な手で顔を触らない、マスクや眼鏡をして物理的に触らないようにするなどの対策がある。
手指衛生
手洗い
石鹸を使って15秒以上かけて洗う。指先、指の間、親指は洗い残しが多い部位。その後よくすすぐ。手荒れ防止のため、よく水分をふき取って乾かす・ぬめりがないぐらい石鹸泡をよく落とす・必要であれば保湿クリームを使う。
手指消毒
手指消毒薬(エタノール)を十分手に取り、まず指先にすりこみ、手が乾燥するまで(15秒以上かけて)手指全体にすりこむ。手が汚れているときは手洗いのほうが効果的。
環境消毒
頻繁に手を触れる場所を1日1回以上、界面活性剤(洗剤)、濃度60%以上のアルコール、濃度0.02〜0.05%の次亜塩素酸ナトリウムのいずれかを用いて拭き消毒する。
飛沫感染予防策
飛沫感染は感染者の咳やくしゃみ、呼気によって鼻汁や唾液(飛沫)が飛び散って、その飛沫が口や鼻などの粘膜につくことでおこる。飛沫は大きいのでだいたい数秒で2m以内に落ちる。、細かい飛沫(エアロゾル)は数秒から数時間2m以上先まで漂っている。予防法は咳エチケットを行う・マスクをつける、近距離で会話をしない、換気をよくするなどがある。
マスク
飛沫が出ないようにする目的とウイルスを吸い込むことを防ぐ目的があるが、前者が主な効果で、後者は限定的。換気の悪い場所、近距離(1m以内)で大声を出し合う場合などはマスクを付けていても感染リスクは高い。マスクの素材は多層の不織布が望ましい。次点で多層の布製(綿よりもポリエステル)、ウレタン製は性能はかなり劣る。
Effectiveness of Face Masks in Preventing Airborne Transmission of SARS-CoV-2
コロナウイルス飛沫感染に関する研究 〜マスクの効果と歌唱時のリスク検討〜
フェイスシールド・マウスシールド:
フェイスシールドは顔に飛沫が直接かからない効果があるが、感染症対策としてはマスクより劣る。マウスの着用の困難な人が使用する。マウスシールドは感染症対策として効果があまりない。
新型コロナ対策 フェイスシールド・マウスシールドってどうなの?
換気
換気の悪い場所は感染リスクが高い。2方向の窓をできるだけ開けて連続的に室内に空気を通す。1方向しか窓がない場合は、ドアを開けるか天井や壁の高い位置にある窓を追加で開ける。
フィジカルディスタンス
物理的距離。3密(密閉・密集・密接)回避。人との間を1m以上(できれば2m)とる。距離が取れない場合は、仕切りをつけるか、マスク等を着用する。換気の悪い場所では距離をとっていても感染リスクが高くなる。
いわゆる「飲み会」における 集団感染事例(2020年10月23日)
Two metres or one: what is the evidence for physical distancing in covid-19?
ワクチンの種類
生ワクチン:弱毒化した病原体(ウイルス)をつかったワクチン
不活化ワクチン:不活化した病原体をつかったワクチン。
ウイルスベクターワクチン:弱毒性のウイルスベクター(媒介者)に抗原たんぱく質(スパイクたんぱく質)の遺伝子を組み込んだ、組み換えウイルスを投与するワクチン。ウイルスが細胞に入り抗原を作る。
mRNAワクチン:抗原たんぱく質の塩基配列を作る情報を持ったmRNAのワクチン。
DNAワクチン:抗原たんぱく質の塩基配列を作る情報を持ったDNAのワクチン。遺伝子ワクチン。
組み換えたんぱく質ワクチン:ウイルスの構成成分である抗原たんぱく質を別の細胞で作ったワクチン。
感染状況に応じて講ずべき施策
分科会指標
ステージT:感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階
ステージU:感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階
ステージV:感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避ける ための対応が必要な段階
ステージW:爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制の機能不全を避けるため の対応が必要な段階
今後想定される感染状況と対策について 令和2年8月7日(金)
主要都市人口10万人あたり・陽性率10%補正した感染者数推移
感染拡大予防ガイドライン
クラスター対策
「感染者・接触者・感染連鎖・クラスター連鎖は制御下に置けている限り大規模な地域流行につながらない」という新型コロナウイルス感染症の特徴による対策。感染者が判明した後その感染経路を追い濃厚接触者等を隔離したりその原因を探っていく積極的疫学調査。その調査を分析し原因を探り対策に役立てる。感染者数が多くなれば積極的対策を行い実効再生産数を減らす(0.5以下)。
COVID-19への対策の概念(2020年3月29日暫定版)
保健師のための積極的疫学調査ガイド [新型コロナウイルス感染症]
感染症数理モデル
基本再生産数R0
感染症に感染した1人の感染者が、誰も免疫を持たない集団に加わったとき、平均して何人に直接感染させるかという人数
実効再生産数Rt
免疫獲得や行動制限など対策後の再生産数。1より大きいなら感染者数は増大し、1未満なら減少する。指数関数的に増減するので、日本のクラスター対策では0.5以下にすることを目標としていた。
接触機会の軽減
感染拡大の危険性が高まってきたら人と人の接触機会を減らす積極的対策をする。
具体的にはガイドラインを遵守していない酒類の提供を行う飲食店の休業要請、人が集中する観光地の施設等における入場制限、外出自粛の要請、 県境を超えた移動の自粛要請など。
Rt2の場合、接触削減8割でRt0.4に、6割削減で1.2になる。現在の実効再生産数と積極的対策でその程度接触機会削減できるかで将来の感染者数が変化する。
今後想定される感染状況と対策について 令和2年8月7日(金)
モバイル空間統計全国主要エリアの人口増減率
「飲食店の制限だけでは1ヶ月で感染者は減らない」 8割おじさんが厚労省“非公開”のシミュレーションを公開(2021/1/5)
緊急事態宣言が効果を上げるか鍵を握る2つの変化 8割おじさんを悩ませる変数(2021/1/5)