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ノロウイルス

2006年度にはノロウイルスが大流行し、多くの感染者がでました。

2006年9月〜2007年8月に集団感染した事例は1,226件(例年は300件弱)で、ノロウイルスの推定感染経路は、人→人伝播が疑われているものが754件、食品媒介が疑われているものが236件、その他感染経路が特定できず不明のものが236件となっています。

2015年には新型のノロウイルスが発生し、15年度は過去最大の感染となっています。

ノロウイルスは10個程度の微量のウイルスが体内に入るだけで感染し、感染から1日〜2日で発症します。主な症状は嘔吐・下痢・吐き気・発熱・腹痛です。

通常、1〜2日で治癒し後遺症も残りません。感染しても発症しない場合やかぜのような症状が出る場合、抵抗力が弱い子どもや高齢者は重症化する場合もあります。回復後も数日から1ヶ月程度ノロウイルスが排出されるケースもあります。

ノロウイルスは腸内で感染・増殖します。感染者の糞便には1gあたり一億個以上、嘔吐物(逆流した腸管内容物が胃に含まれるため)には100万個以上のノロウイルスが検出されています。

感染経路は、

・ノロウイルスが蓄積されたアサリや牡蠣などの二枚貝や魚貝類を生や加熱不足で食べる。

・ノロウイルスに感染した人を介してウイルスに汚染された食材を生や加熱不足で食べる。

・感染した人の嘔吐物や糞便のウイルスが何らかの形(接触、嘔吐物から舞い上がる飛沫や、嘔吐物や糞便の処理不足でわずかに残った小粒子が比較的遠くまで舞い上がる)で口に入る。

が主なものです。食中毒の場合、約7割は原因食品が特定できていません。現在では三番目の人から人への感染が問題となっています。

ノロウイルスはアルコールや逆性石鹸、胃液の酸度(pH3)、飲料水に含まれる程度の塩素、60℃程度の熱には抵抗力があります。感染力を失わせるためには、85℃以上で1分以上の加熱か、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(塩素系の殺菌・漂白剤)が有効です。

ノロウイルスは人工的に培養ができなくて、ウイルスの特定が難しく、詳しい性質も分かりません。二枚貝内でも蓄積するだけで、増殖はしません。効果を調べるときには代替ウイルスとして(ネコカリシウイルス)が使われます。一般的にノロウイルスに効果がある製品はこの代替ウイルスで検証されています。

代替ウイルスで効果が確認されているのは、次亜塩素酸水 やイソジンがあります。

感染者の嘔吐物や糞便の処理をするときは、使い捨てのマスク や手袋を使ってできるだけ触れないようにし、周辺に広がらないようにペーパータオルやトイレットペーパー等で静かに拭き取り、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キッチンハイターの場合:水1リットルに対して50ml、まな板や食器の漂白に使う濃度の5倍程度)で浸すように拭き取り、その後水拭きします。使用した手袋や汚物などはまとめて、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液で浸すようにビニール袋に入れて密閉します。

処理した後は手洗いとうがいを欠かさないようにします。手洗いは薬用石鹸で洗い、よく流水ですすぎます。その後、次亜塩素酸水 を使用するとなお安全です。専用の嘔吐物処理セット も市販されています。

乾燥すると簡単に空中にノロウイルスが漂うので、乾燥する前に、残らないように処理することが重要です。

衣服に嘔吐物や便がついた場合、まず手袋とマスクをして個別に水洗いをして、0.02%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キッチンハイターの場合:水1リットルに対して10ml、まな板や食器の漂白に使う濃度)に5分以上つけたあと、洗濯機で洗います。

トイレやドアノブ、食器、調理に使ったまた板や包丁などの殺菌には、よく汚れを落とした後、0.02%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用います。また熱を加えるために、煮沸できるものは煮沸し、できないものはドライヤーやスチームアイロンを使うのも効果的です。

参考サイト

ノロウイルス(Wikipedia)

ノロウイルス感染症とその対応・予防(感染症情報センター)

ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省)

ノロウイルスの感染経路(感染症情報センター)

炭疽菌/ 新型インフルエンザ/ MERS(中東呼吸器症候群)/ 新型コロナウイルス/ マスク/

危機管理[南海トラフ地震対策・原子力]

雨宮勇徒の研究室[教育・南海トラフ地震対策・原子力]

(2016/01)