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感度 特異度

スクリーニング検査

スクリーニングとは特定の無症状の疾患に罹患している可能性が高いかどうかを診断するために検査を集団に適応することです。スクリーニングの対象となる疾患は重篤であること、症状の出現以前に治療を開始することによって経過が変化すること、症状出現以前の状態の有病率がスクリーニング対象集団で高いことなどが挙げられる。

感度と特異度

スクリーニング検査の評価に「感度」と「特異度」という指標が使われている。感度は真に疾患に罹患している人で検査の結果が陽性となる確率、特異度は真に疾患に罹患していない人で検査の結果が陰性となる確率のことをいう。両方高い検査がよい検査方法だが、両者はトレードオフの関係になっている。

有病率と的中率

陽性反応的中度は検査で陽性だった人の中で真に疾患を有する人の割合、陰性反応的中度は検査で陰性だった人の中で真に疾患を有さない人の割合のことを言う。これらは感度と特異度だけではなく、有病率も関係してくる。有病率はある時点における集団内の特定の疾患を持つ人の割合のことである。

感度特異度と有病率を変化させたときの陽性・陰性反応的中度を下の図に示す。スクリーニング検査には有病率のたかい集団でおこなう意義がわかるだろう。

感度70%、特異度99%の場合

感度70%特異度99%の的中率
有病率0.01%の場合、陽性反応的中度は1%以下。0.1%で数%、1%4割、10%でようやく9割の的中率

感度90%、特異度99.99%の場合

感度90%特異度99.99%の的中率
有病率0.01%で陽性反応的中度は4割、0.1%で9割まで上昇。1%、10%でほぼ100%

感度90%、特異度90%の場合

感度90%特異度90%の的中率
有病率1%で陽性反応的中度は1割未満、10%でも5割。

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