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電気事業法

電気事業法

第一章 総則

第一条 (目的)
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。

第二条(定義)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 小売供給 一般の需要に応じ電気を供給することをいう。
二 小売電気事業 小売供給を行う事業(一般送配電事業、特定送配電事業及び発電事業に該当する部分を除く。)をいう。
三 小売電気事業者 小売電気事業を営むことについて次条の登録を受けた者をいう。
四 振替供給 他の者から受電した者が、同時に、その受電した場所以外の場所において、当該他の者に、その受電した電気の量に相当する量の電気を供給することをいう。
五 接続供給 次に掲げるものをいう。
イ 小売供給を行う事業を営む他の者から受電した者が、同時に、その受電した場所以外の場所において、当該他の者に対して、当該他の者のその小売供給を行う事業の用に供するための電気の量に相当する量の電気を供給すること。
ロ 電気事業の用に供する発電用の電気工作物以外の発電用の電気工作物(以下このロにおいて「非電気事業用電気工作物」という。)を維持し、及び運用する他の者から当該非電気事業用電気工作物(当該他の者と経済産業省令で定める密接な関係を有する者が維持し、及び運用する非電気事業用電気工作物を含む。)の発電に係る電気を受電した者が、同時に、その受電した場所以外の場所において、当該他の者に対して、当該他の者があらかじめ申し出た量の電気を供給すること(当該他の者又は当該他の者と経済産業省令で定める密接な関係を有する者の需要に応ずるものに限る。)。
六 託送供給 振替供給及び接続供給をいう。
七 電力量調整供給 次のイ又はロに掲げる者に該当する他の者から、当該イ又はロに定める電気を受電した者が、同時に、その受電した場所において、当該他の者に対して、当該他の者があらかじめ申し出た量の電気を供給することをいう。
イ 発電用の電気工作物を維持し、及び運用する者 当該発電用の電気工作物の発電に係る電気 ロ 特定卸供給(小売供給を行う事業を営む者に対する当該小売供給を行う事業の用に供するための電気の供給であつて、電気事業の効率的な運営を確保するため特に必要なものとして経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。以下このロにおいて同じ。)を行う事業を営む者 特定卸供給に係る電気(イに掲げる者にあつては、イに定める電気を除く。)
八 一般送配電事業 自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給及び電力量調整供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)をいい、当該送電用及び配電用の電気工作物により次に掲げる小売供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)を含むものとする。
イ その供給区域(離島(その区域内において自らが維持し、及び運用する電線路が自らが維持し、及び運用する主要な電線路と電気的に接続されていない離島として経済産業省令で定めるものに限る。ロ及び第二十一条第三項第一号において単に「離島」という。)を除く。)における一般の需要(小売電気事業者又は登録特定送配電事業者(第二十七条の十九第一項に規定する登録特定送配電事業者をいう。)から小売供給を受けているものを除く。ロにおいて同じ。)に応ずる電気の供給を保障するための電気の供給(以下「最終保障供給」という。)
ロ その供給区域内に離島がある場合において、当該離島における一般の需要に応ずる電気の供給を保障するための電気の供給(以下「離島供給」という。)
九 一般送配電事業者 一般送配電事業を営むことについて第三条の許可を受けた者をいう。
十 送電事業 自らが維持し、及び運用する送電用の電気工作物により一般送配電事業者に振替供給を行う事業(一般送配電事業に該当する部分を除く。)であつて、その事業の用に供する送電用の電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。
十一 送電事業者 送電事業を営むことについて第二十七条の四の許可を受けた者をいう。
十二 特定送配電事業 自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物により特定の供給地点において小売供給又は小売電気事業若しくは一般送配電事業を営む他の者にその小売電気事業若しくは一般送配電事業の用に供するための電気に係る託送供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)をいう。
十三 特定送配電事業者 特定送配電事業を営むことについて第二十七条の十三第一項の規定による届出をした者をいう。
十四 発電事業 自らが維持し、及び運用する発電用の電気工作物を用いて小売電気事業、一般送配電事業又は特定送配電事業の用に供するための電気を発電する事業であつて、その事業の用に供する発電用の電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。
十五 発電事業者 発電事業を営むことについて第二十七条の二十七第一項の規定による届出をした者をいう。
十六 電気事業 小売電気事業、一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業及び発電事業をいう。
十七 電気事業者 小売電気事業者、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者及び発電事業者をいう。
十八 電気工作物 発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。

第二章 電気事業

第三十四条の二

電気の使用制限等

経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、小売電気事業者、一般送配電事業者若しくは登録特定送配電事業者(以下この条において「小売電気事業者等」という。)から電気の供給を受ける者に対し、小売電気事業者等の供給する電気の使用を制限すべきこと又は受電電力の容量の限度を定めて、小売電気事業者等から電気の供給を受ける者に対し、小売電気事業者等からの受電を制限すべきことを命じ、又は勧告することができる。
2 経済産業大臣は、前項の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、小売電気事業者等から電気の供給を受ける者に対し、小売電気事業者等が供給する電気の使用の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

第三章 電気工作物

第一節 定義

第三十八条

この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物をいう。ただし、小出力発電設備(経済産業省令で定める電圧以下の電気の発電用の電気工作物であつて、経済産業省令で定めるものをいう。以下この項、第百六条第七項及び第百七条第五項において同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であつて、経済産業省令で定めるものに設置するものを除く。
一 他の者から経済産業省令で定める電圧以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内においてその受電に係る電気を使用するための電気工作物(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する小出力発電設備を含む。)であつて、その受電のための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
二 構内に設置する小出力発電設備(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する電気を使用するための電気工作物を含む。)であつて、その発電に係る電気を前号の経済産業省令で定める電圧以下の電圧で他の者がその構内において受電するための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの

この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。

この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
一 一般送配電事業
二 送電事業
三 特定送配電事業
四 発電事業であつて、その事業の用に供する発電用の電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの

第二節 事業用電気工作物

第三十九条(事業用電気工作物の維持)

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。 2 前項の主務省令は、次に掲げるところによらなければならない。
一 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
二 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。
三 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
四 事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。

第四十条(技術基準適合命令)

主務大臣は、事業用電気工作物が前条第一項の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

第四十一条(費用の負担等)

事業用電気工作物が他の者の電気的設備その他の物件の設置(政令で定めるものを除く。)により第三十九条第一項の主務省令で定める技術基準に適合しないこととなつたときは、その技術基準に適合するようにするため必要な措置又はその措置に要する費用の負担の方法は、当事者間の協議により定める。ただし、その費用の負担の方法については、政令で定める場合は、政令で定めるところによる。
2 第二十五条第二項本文及び第三項から第五項まで並びに第三十三条の規定は、前項の協議をすることができず、又は協議が調わない場合に準用する。この場合において、第二十五条第二項本文、第三項及び第四項中「経済産業大臣」とあるのは、「主務大臣」と読み替えるものとする。
3 主務大臣は、前項において準用する第二十五条第二項本文の裁定をしようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ関係大臣に協議しなければならない。

第四十二条(保安規程)

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第五十一条第一項の自主検査又は第五十二条第一項の事業者検査を伴うものにあつては、その工事)の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。
2 事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。
3 主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
4 事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。

第四十三条(主任技術者)

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。
3 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く。)は、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
4 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
5 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

第四十七条(工事計画)

事業用電気工作物の設置又は変更の工事であつて、公共の安全の確保上特に重要なものとして主務省令で定めるものをしようとする者は、その工事の計画について主務大臣の認可を受けなければならない。ただし、事業用電気工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。
2 前項の認可を受けた者は、その認可を受けた工事の計画を変更しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。ただし、その変更が主務省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
3 主務大臣は、前二項の認可の申請に係る工事の計画が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、前二項の認可をしなければならない。
一 その事業用電気工作物が第三十九条第一項の主務省令で定める技術基準に適合しないものでないこと。
二 事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物が電気の円滑な供給を確保するため技術上適切なものであること。
三 特定対象事業に係るものにあつては、その特定対象事業に係る第四十六条の十七第二項の規定による通知に係る評価書に従つているものであること。
四 環境影響評価法第二条第三項に規定する第二種事業(特定対象事業を除く。)に係るものにあつては、同法第四条第三項第二号(同条第四項及び同法第二十九条第二項において準用する場合を含む。)の措置がとられたものであること。
4 事業用電気工作物を設置する者は、第一項ただし書の場合は、工事の開始の後、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
5 第一項の認可を受けた者は、第二項ただし書の場合は、その工事の計画を変更した後、遅滞なく、その変更した工事の計画を主務大臣に届け出なければならない。ただし、主務省令で定める場合は、この限りでない。

第四十八条 
事業用電気工作物の設置又は変更の工事(前条第一項の主務省令で定めるものを除く。)であつて、主務省令で定めるものをしようとする者は、その工事の計画を主務大臣に届け出なければならない。その工事の計画の変更(主務省令で定める軽微なものを除く。)をしようとするときも、同様とする。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から三十日を経過した後でなければ、その届出に係る工事を開始してはならない。
3 主務大臣は、第一項の規定による届出のあつた工事の計画が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。 一 前条第三項各号に掲げる要件
二 水力を原動力とする発電用の事業用電気工作物に係るものにあつては、その事業用電気工作物が発電水力の有効な利用を確保するため技術上適切なものであること。
4 主務大臣は、第一項の規定による届出のあつた工事の計画が前項各号のいずれかに適合していないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出を受理した日から三十日(次項の規定により第二項に規定する期間が延長された場合にあつては、当該延長後の期間)以内に限り、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。
5 主務大臣は、第一項の規定による届出のあつた工事の計画が第三項各号に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し、当該審査が第二項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは、当該期間を相当と認める期間に延長することができる。この場合において、主務大臣は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、当該延長後の期間及び当該延長の理由を通知しなければならない。

第三節 一般用電気工作物

第五十六条(技術基準適合命令)

経済産業大臣は、一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、その所有者又は占有者に対し、その技術基準に適合するように一般用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。
2 第三十九条第二項(第三号及び第四号を除く。)の規定は、前項の経済産業省令に準用する。

第五十七条(調査の義務)

一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(以下この条、次条及び第八十九条において「電線路維持運用者」という。)は、経済産業省令で定める場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、その一般用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。
2 電線路維持運用者は、前項の規定による調査の結果、一般用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。
3 経済産業大臣は、電線路維持運用者が第一項の規定による調査若しくは前項の規定による通知をせず、又はその調査若しくは通知の方法が適当でないときは、その電線路維持運用者に対し、その調査若しくは通知を行い、又はその調査若しくは通知の方法を改善すべきことを命ずることができる。
4 電線路維持運用者は、帳簿を備え、第一項の規定による調査及び第二項の規定による通知に関する業務に関し経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
5 前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

第五十七条の二(調査業務の委託)

電線路維持運用者は、経済産業大臣の登録を受けた者(以下「登録調査機関」という。)に、その電線路維持運用者が維持し、及び運用する電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物について、その一般用電気工作物が第五十六条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査すること並びにその調査の結果その一般用電気工作物がその技術基準に適合していないときは、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知すること(以下「調査業務」という。)を委託することができる。
2 電線路維持運用者は、前項の規定により登録調査機関に調査業務を委託したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。委託に係る契約が効力を失つたときも、同様とする。
3 前条第一項の規定は、電線路維持運用者が第一項の規定により登録調査機関に調査業務を委託しているときは、その委託に係る一般用電気工作物については、適用しない。

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