雨宮勇徒の研究室教育問題

家庭での教育<躾について>

小学校に入学するまでの6年間、子供はほとんど家庭で過ごすことになる。幼稚園や保育所にいっている時間以外は家庭と一緒に生活するのだ。  

以前から、授業が成立しない学級崩壊が起き、問題となっている。子供に、忍耐力や適応能力が乏しいためである。また、無気力で自分一人では何にもできない、自発性のない子供も増えてきている。これらの問題は親の子育ての仕方に一因があると考えられる。これからは親に適切な子育ての方法を指導していかなければならない時代になっている。   

まず、子供の発育過程について説明する。子育ての中でどのように自発性や社会性が養われていくのか知る必要がある。  

乳児期で一番大切なことはしっかりとした母子関係を形成することである。このことは対人関係の発達で一番の基礎の部分である。母親が子供のために愛情を注ぎ、子供は母親に要求するといった、双方向の関係を築くことで母子の信頼関係が生まれる。子育ての第一歩であると同時に、最重要課題といえる。  

母子関係だけではなく父子関係も重要である。身体的な遊びは父親を好み、母親とは違った親和行動の相手として選ぶ傾向があるようだ。  

6〜8か月から目がよく見えるようになり、人見知りするようになる。これは愛情を与えられた母親とのきずなや人間関係が発達して、見慣れた人と知らない人との区別が分かってきたためだ。人見知りをしない赤ちゃんは、母親との愛情関係が希薄だといえる。その時は子供と一緒にいる時間を多く取り、母子関係をしっかりしたものにする。母親からの愛情は、少なすぎると人間関係がうまく築けず、多すぎると自立心が育たなくなる。子供の要求に最適に答えられるような目を養わなければならない。  

1〜2歳半になると甘えが強くなる。子供の不安を解消し、親とのきずなを深くする。子供が求めてきたときに身体接触を積極的にするべきである。親の都合でやるのは子供にとって甘やかしになるので、やってはいけないことだ。  

1歳ぐらいになると、歩行が可能になる。手が自由に使えるようになるので、子供はいたずらを始める。これは探索行動といって、子供の自発性の発達に欠かせない。1〜3歳の間に初めての知的活動を活発に行い、好奇心や探究心を十分につける必要がある。  

社会生活で必要な躾をこの段階から徐々に始める。生活で必要な行動やルールを決め、それをできるだけ自分で身に付けさせるようにする。そのためには母子の信頼関係と自発性が重要となってくる。  

躾をするうえで大事なのは、自発性を育てることと、欲望を抑えることを学ばせることである。何でも禁止してしまうと自発性のない無気力な子供になってしまうし、すべて子供のいうことを聞いていると、我慢のできない子供になってしまう。基本的な生活習慣の自立については、頭ごなしに叱らずに親が支援する気持ちで接する。御菓子やおもちゃなどの物質的な欲望については、すぐに与えたりせずに親がしっかりとしたルールを作り、それに従って行うべきである。  

2〜4歳の間に第一反抗期が現われる。今までの子供の行動は母親との関係に依存していたが、ここで初めて自分の頭で行動を考えるようになる。様々な体験の中から基準を作り、それに準じた行動をとるようになったためだ。子供の自発性が発達している現われで、この時期は子供のやりたいようにさせることが重要である。反抗期がないのは甘やかされて育てられたため、不満がなく自分で考える必要がなかったからである。  

この時期は反抗期と甘えの気持ちが共存している状態である。両方とも発育には欠かせない行動なので、親のほうがうまく対応する必要がある。  

4〜6歳は友人形成期といい、ほかの子供たちとの交流を求め出す時期である。この時期以前では、子供同士が仲良く遊ぶ力がついていない。おもちゃの取り合いやけんかをしても子供に責任はないので怒らないことだ。幼稚園や保育所に通わせることで、友達を作る機会を与えることが重要である。本格的な社会生活の始まりと言えるので、この時までにある程度の規律を身に付けさせておかなければならない。  

7〜9歳ごろの子どもはギャングエイジといって、好きなもの同士でグループを作り独自の遊びを始める。親からしつけられたものとは別の価値観を子供たちが創造するので、自発性の現われだといえる。  

家庭での教育で重要なことは早期教育をすることではない。自分で考え行動する自発性、ルールを守り身の回りのことができる社会性、欲望を抑えて苦労ができる忍耐力を身に付けさせることである。今、学校で引き起こしている問題とこれらの能力の欠乏が関係していることは明らかである。小学校に入学するまでに、子供に適切な躾が行われていれば大きな問題は起きないのだ。

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