前にテロの標的に原発を挙げました。核の脅威は核兵器だけではありま せん。原発に何らかの異常がでて放射性物質が飛び散る、旧ソ連が開発 したと思われるスーツケース型の核爆弾なども考えられます。最近、原発 で事故が続き、不安感を持たれている人も多いでしょう。
核についてあまり知られていないように思います。ここでは、核による驚異 について説明する前に、語句の説明をしていきます。
- 放射能
- 原子核が放射線を放出する能力
- 放射性物質
- 放射能を持つ物質
- 放射線
- 空間を高速で伝わるエネルギーの流れ 電磁放射線、粒子放射線、電離放射線に分けられる
- 電磁放射線
- 電磁波に属する放射線 マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線
- 粒子放射線
- 粒子に属する放射線 α線、プラスβ線、陽子線、重陽子線、マイナスβ線電子線、中性子線
- 電離放射線
- 電離(イオン化)させる高エネルギーの放射線 属にいう放射線 波長の短い紫外線、X線、γ線、α線、プラスβ線、陽子線、重陽子線、マイナスβ線、電子線、中性子線
- α線
- ヘリウム原子核(陽子2、中性子2)の高速の流れ 透過力は弱いが電離力が強い
- β線(マイナス)
- 電子の高速の流れ 透過力は弱いが電離力が強い
- γ線
- 光子の高速の流れ 電離力は弱いが透過力は強い
- 中性子線
- 中性子の高速の流れ 電離力は弱いが透過力は強い
- 質量数
- 原子核内の核子の総数 陽子数と中性子数の和 核子数とも
- 原子番号
- 原子核内の陽子の数 陽子数とも
- 同位体
- 同じ元素番号で質量数が違う核種
- 核種
- 陽子と中性子の数により決定される原子核の種類
- ウラン
- 記号U 原子番号92 天然に3種類の同位体が存在 U238(99.28%)、U235(0.72%)、U234(0.06%)
- プルトニウム
- 記号Pu 原子番号94 超ウラン元素の一つ 天然に存在しない
- 濃縮ウラン
- 原子力発電の燃料や核兵器にするため、U235の濃度をあげたもの
- MOX燃料
- 混合酸化物燃料 燃料として使えるPu239を加えた燃料のこと
- プルサーマル
- ウランを燃料としていた原子炉でMOX燃料を使用すること
- 軽水炉
- 減速剤と冷却材に軽水(普通の水)を使う原子炉
- 高速増殖炉
- 中性子を減速させずに使用し、プルトニウムを増殖させる原子炉
- 高速中性子
- 核分裂によって飛び出した高速の中性子
- 熱中性子
- 高速中性子が減速したもの
- 臨界
- 核分裂反応が連鎖的に起こる事
- 臨界量
- 臨界する最少量
- 即発臨界
- 即発中性子のみで臨界となること。
- 即発中性子
- 核分裂時に即座に放出される中性子。
- 遅発中性子
- 核分裂生成物が崩壊する時に出す中性子。
- ベクレル[Bq]
- 放射能の単位。1ベクレルとは、1秒に1崩壊(壊変)をもたらす放射性核種(放射性物質)の量。核種とは原子核の陽子数と中性子数で特定される原子の集合(原子の種類)。崩壊とは放射性核種が自然に別の核種(娘核種)に変化すること。崩壊の際に核種固有の放射線がでる。
- グレイ[Gy]
- 吸収線量の単位。吸収線量とは放射線が物質に作用するときにそれにもたらされるエネルギーの吸収密度。1グレイとは1kgの物質に1Jのエネルギーを吸収した値。
- シーベルト[Sv]
- 等価線量、実効線量の単位
- 等価線量
- 放射線の種類やエネルギーによって異なる放射線の人体に対する影響をあらわすための線量。臓器・組織の平均吸収線量にもとづくもの。等価線量(Sv) = 放射線荷重係数 × 吸収線量
- 実効線量
- 全身にわたる確率的影響のリスクを評価する線量。臓器や組織によって放射線で受ける影響が異なるため。実効線量(Sv) = 組織荷重係数 × 等価線量。組織荷重係数とは臓器・組織の確率的影響に対する感受性の相対的割合。
- 確定的影響
- 発ガンや遺伝的影響を除く、皮膚障害や白内障、不妊など身体的障害として現れる影響。放射線の線量が一定値(閾値)以下では症状が現れない。線量に比例して、障害が重症化する。ある線量に達すると、被曝したすべての人に症状が現れる。
- 確率的影響
- 発ガンや遺伝的影響が放射線の線量が増えるごとに発生確率があがり、閾値がないと思われている影響。この影響が自然発生の確率に上乗せされる。一定線量を長時間少しずつ浴びても、短期間に一気に浴びても影響は同じ。
- 内部被曝
- 大気中や食品に含まれる放射性物質を取り込むことで体内から被曝すること
- 外部被曝
- 宇宙線や地表からの放射線によって体外から被曝すること
- 原爆
- 原子爆弾。核分裂のエネルギーを利用した爆弾。ウラン型(U235)とプルトニウム型(Pu239)がある。自発核分裂核種を含むためプルトニウム型には爆縮が必要。
- 水爆
- 水素爆弾。水素の核融合のエネルギーを利用した爆弾。水素はより核融合反応を起こしやすい重水素[重水素化リチウム(固体)]や三重水素が使われる。核分裂のエネルギーを使って核融合を起こしている。
- 自発核分裂
- 中性子が衝突しなくても自然に起きる核分裂。プルトニウム240やキュリウム244などが起き易い核種。
参考リンク
ウィキペディア原子力百科事典 ATOMICA
(2011/6/20)
原子力発電/ 核燃料/ 放射線と原子/ 放射線と人体/ 核被害/ 体外・体内被曝
危機管理[南海トラフ地震対策・原子力]