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コンピュータシステム システム構成要素

システムの構成

システムの処理形態・利用形態・適用領域

@ 集中処理システム

集中処理システムは、複数の処理を一つの中央処理装置(CPU)で行うシステムです。その特徴は次の通りです:

  1. 中央処理装置(CPU)の集中: 全ての処理が一つの中央処理装置で行われます。このCPUが、命令の実行やデータの処理を制御します。
  2. 統一された管理: 全てのタスクやプロセスが中央で管理されるため、システム全体を統一的に管理・監視できます。
  3. リソースの集中化: メモリやストレージ、入出力機器などのリソースも中央で管理されます。これにより、リソースの効率的な利用が可能です。
  4. 単一障害点: 中央のCPUやリソースが故障すると、全体の処理に影響を及ぼす可能性があります。これはシステム全体の信頼性に影響を与えることがあります。
A 分散処理システム

分散処理システムは、複数の独立したコンピュータがネットワークを介して通信し、タスクを共同で処理するシステムです。その特徴は以下の通りです:

1. 分散アーキテクチャ: システム全体が複数のコンピュータで構成され、それぞれがネットワークを介して通信します。このアーキテクチャは、システム全体の冗長性を高め、障害に対する耐性を向上させます。

2. 機能配分: タスクや処理が複数のノードに分散され、各ノードが負荷を分担します。これにより、処理速度や効率を向上させることが可能です。

3. 管理責任の分散: システム全体が複数のノードに分散されるため、管理責任も分散されます。各ノードの管理者が局所的な問題に対処し、システム全体の管理が容易になります。

4. TCO(Total Cost of Ownership): 分散処理システムは、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどのコストが増える可能性があります。しかし、適切に設計された分散システムは、全体的な運用コストを削減し、効率を向上させることができます。

これらの特徴により、分散処理システムは大規模なデータ処理や高負荷の環境に適しており、スケーラビリティや可用性を向上させることができます。

B 利用形態

バッチ処理は、データやタスクを一定の単位でまとめて処理する形式です。一般的には、処理対象のデータやタスクが事前に決まっており、一括して処理されます。バッチ処理は時間やリソースの制約が比較的ゆるやかな場面で利用され、データの更新頻度が低く、処理の完了までに数時間から数日かかることがあります。

一方、リアルタイム処理は、処理が発生した時点ですぐに対応することが求められる形式です。システムは外部のイベントや信号に迅速に応答し、処理を即座に実行します。リアルタイム処理は、高い反応速度と正確性が求められる場面で利用されます。例えば、産業制御システムや交通システムなどのリアルタイム性が重要なシステムで使用されます。

システム構成

システム構成の種類には、さまざまな特徴があります。デュアルシステムは、同一の機能を2つの独立したシステムで実装し、冗長性を確保します。デュプレックスシステムは、2つのシステムが双方向で互いにバックアップを行う構成です。

クラスタは、複数の独立したコンピュータを組み合わせて1つのシステムとして動作させる構成です。クラスタリングは、クラスタ内のコンピュータが協調して特定のタスクを実行する方式です。

タンデム結合は、2つのコンピュータが連携して1つのシステムとして動作する方式であり、信頼性の向上が特徴です。

マルチプロセッサシステムは、1つのコンピュータに複数のプロセッサを搭載して並列処理を行う構成です。

ロードシェアリングシステムは、複数のサーバーが負荷を分担して処理を行う方式であり、レスポンス速度の向上が期待されます。

冗長構成によるシステムの信頼性向上では、主系(現用系)と従系(待機系)などの組み合わせがあります。バックアップサイト、ホットサイト、ウォームサイト、コールドサイトなどのバックアップ戦略も信頼性向上に役立ちます。

システム構成要素間の機能配分では、シェアードエブリシング、シェアードナッシングなどの方式があります。

クラウドコンピューティングは、インフラストラクチャやソフトウェアをネットワーク経由で提供することで、柔軟性やスケーラビリティを実現します。

仮想化技術を利用することで、ハードウェアのリソースを効率的に活用し、複数の仮想マシンを1台の物理マシン上で動作させることができます。

ハイパフォーマンスコンピューティング

HPC(High Performance Computing)は、高度な数値演算やデータ処理が必要な分野で利用されます。その特徴は、高速な演算能力、大規模なデータ処理能力、および複雑な問題に対する高い計算精度です。

HPCを可能にするためには、スーパーコンピュータや大規模な並列処理システムが利用されます。スーパーコンピュータは、複数の高性能プロセッサやメモリ、ネットワークインターフェースなどを搭載し、高速な演算処理を実行します。

また、複数のコンピュータをLANなどで結んで、共有リソースを利用することで、大規模な並列処理を行うことができます。このような構成では、各コンピュータが演算を担当し、結果を共有することで、単一の高性能なコンピュータとして機能します。

アレイプロセッサは、複数のプロセッサコアを1つのチップ上に集積し、並列処理能力を高めるために使用されることがあります。これにより、複数の演算を同時に実行し、高速なデータ処理を実現します。

クライアントサーバシステム

クライアントサーバシステムは、複数のコンピュータ間でリソースを共有し、処理を分散させるアーキテクチャです。その特徴は、以下の通りです。

  1. 分散処理:クライアントとサーバがネットワークを介して通信し、処理を分散させます。
  2. 柔軟性:クライアントとサーバが独立しているため、システムの変更や拡張が比較的容易です。
  3. 利用集中:サーバが共有リソースを提供するため、複数のクライアントが同時に利用できます。
  4. 管理責任:サーバがデータやアプリケーションを管理し、クライアントはそれを利用する形態です。

クライアントサーバシステムは、2層構造や3層構造など、さまざまな構成で実装されます。

2層クライアントサーバシステムでは、クライアントがユーザーインターフェースとビジネスロジックを担当し、サーバがデータベースを管理します。

一方、3層クライアントサーバシステムでは、クライアントがユーザーインターフェースを担当し、アプリケーションサーバがビジネスロジックを処理し、データベースサーバがデータの管理を行います。

関連技術として、データベースに対するストアドプロシージャなどがあります。これは、データベース内で事前に定義された処理を実行するための手法であり、データベースアクセスを効率化し、処理の再利用性を高めることができます。

Web システム

Web システムは、クライアントとサーバー間でリソースや情報を知るためのアーキテクチャです。その特徴や構成、各層間の通信の仕組みについて以下に示します。 特徴:Web システムは、クライアントが Web ブラウザー Web サーバーにアクセスし、情報を取得したり送信したりしています。クライアント側では、多くの場合、HTML や CSS、JavaScript などのリソースを取得して表示します。

  • アーキテクチャ:一般的に、Web システムはクライアント/サーバアーキテクチャを採用しています。クライアントは Web ブラウザで、サーバはさらに、サーバー側ではデータベースサーバーやアプリケーションサーバーなども含まれる場合があります。
  • 構成:Web システムは多くの場合、以下の
    • Web ブラウザ:クライアント側で、ユーザーが Web ページを閲覧するためのソフトウェア。
    • Web サーバ:クライアントからのリクエストを受け取り、適切な
    • アプリケーション サーバ:ビジネスロジックやデータベースとの対処を担当するサーバ。
    • データベース:データの隠しや取得を担当するサーバ。
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  • 各層間の通信の仕組み:Webシステムでは、一般的にはHTTPプロトコルを使用してクライアントとサーバ間で通信が行われますクライアントはHTTPリクエストを送信し、サーバーはそれに対してHTTP応答を返します。また、アプリケーションサーバーとデータベースサーバー間では、通常はデータベース接続を確立してデータの解決が行われます。
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    RAID

    RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数の磁気ディスク装置を一つの装置としてまとめ、信頼性や速度を向上させる技術です。以下に、RAIDの主な種類と特徴、およびNASやSANといったストレージ関連技術の特徴を説明します。

    信頼性設計

    信頼性設計に関する考え方として、フォールトトレラントやヒューマンエラー回避技術などがあります。以下に、それらの考え方や関連するシステム構成や技術について説明します。

    システムの評価指標

    システムの性能特性と評価

    応答時間(レスポンスタイム):入力装置からの入力が完了し、出力装置への出力が開始されるまでの時間間隔。

    スループット(処理時間):単位時間内に処理できる仕事(ジョブ)の量。あるジョブを処理するのに必要な時間。

    ターンアラウンドタイム:情報がシステムを一巡する時間

    命令ミックス:コンピュータシステムのハードウェアの性能を比較するために使われる
    ギブソンミックス:科学技術計算用
    コマーシャルミックス:事務計算用

    ベンチマーク:標準的なプログラムの実行時間を測定し、ハードウェア、OSを含めた総合的なコンピュータの性能を比較評価すること

    SPEC(Standard Performance Evaluation Corpation)

    SPECint(整数演算処理能力):Dhrystoneベンチマーク、SPECfp(浮動小数点演算能力):Whestoneベンチマーク

    TPC(Transation Proseccing Performance Council)
    TPC-A(基本性能評価用)
    TPC-B(データベース評価用)
    TPC-C(業務処理評価用)
    TPC-D(意思決定支援システム評価用)

    @ システムの性能指標

    システムの性能を評価する際に使用される評価項目や指標にはさまざまなものがあります。以下に、それらの種類と特徴をいくつか示します。

    A キャパシティプランニング

    キャパシティプランニングは、システムの性能を確保し、適切なリソースを割り当てるためのプロセスです。その目的は、システムが適切に機能し、利用可能なリソースを最大限に活用することです。

    このプロセスでは、システムに求められる処理の種類、量、処理時間などを検討します。これには、負荷の種類(例:トランザクション処理、データ処理)、予想される負荷量(例:同時ユーザー数、データボリューム)、処理時間の期待値などが含まれます。

    次に、これらの要件からサーバやストレージなどの性能諸元を見積もります。サーバの場合、処理能力(CPU)、メモリ容量、ストレージ容量などが重要な要素です。ストレージの場合、データの保持量、アクセス速度、冗長性などが考慮されます。

    最後に、システムの性能を継続的に把握し、評価することが重要です。システムの負荷やリソース使用状況をモニタリングし、必要に応じてリソースを増減させることで、性能を最適化します。

    用語例としては、負荷、サイジング、スケールアウト、スケールアップ、容量・能力管理、システムパラメータ、プロビジョニングなどがあります。

    システムの信頼性特性と評価

    @ RASIS

    システムを評価する際の主要な評価項目には、以下の 5 つの側面があります:

    これらの評価項目は、システムの健全性と信頼性を確保するために重要です。

    A 信頼性指標と信頼性計算

    システムの信頼性を評価する際の主要な評価項目とその指標には以下のものがあります:

    MTBF(Mean Time Between Failures):故障間平均時間。システムが故障するまでの平均時間を示します。

    MTTR(Mean Time To Repair):平均修復時間。システムが故障から復旧するまでの平均時間を示します。

    稼働率(Availability):システムが利用可能な時間の割合を示します。通常、次のように計算されます:

    \[ \text{Availability} = \frac{\text{MTBF}}{\text{MTBF} + \text{MTTR}} \]

    並列システムと直列システムの稼働率は、計算方法が異なります。直列システムでは、各コンポーネントの稼働率を乗算して全体の稼働率を計算します。一方、並列システムでは、各コンポーネントの稼働率を減算して全体の稼働率を計算します。

    例えば、直列システムでは次のように計算します:

    \[ \text{Total Availability} = \text{Availability}_1 \times \text{Availability}_2 \times \ldots \times \text{Availability}_n \]

    一方、並列システムでは次のように計算します:

    \[ \text{Total Availability} = 1 - (1 - \text{Availability}_1) \times (1 - \text{Availability}_2) \times \ldots \times (1 - \text{Availability}_n) \]

    これらの評価項目と計算方法は、システムの信頼性を評価し、適切な保守やアップグレードを行う上で重要な指標です。

    稼働率

    $$稼働率=\frac{MTBF}{MTBF+MTTR} :RASISのA(可用性)の指標$$

    MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)
    システムが故障せずに連続して動作する時間の平均値。RASISのR(信頼性)の指標

    MTTR(Mean Time To Repair:平均修理時間)
    RASISのS(保守性)の指標

    直列システムの稼働率$$P - P_1 × P_2 × P_3$$

    並列システムの稼働率$$P=1-(すべての装置が同時に故障する確率)$$ $$=1-(1-P_1)×(1-P_2)×(1-P_3)$$

    デュアルシステム:装置を二重化し二台の処理装置が同じ処置を行い、障害時に故障した装置を切り離す方式。

    デュプレックスシステム:通常は主系のみ稼働し障害時に主系から待機系に切り替える方式

    信頼性指標(RASIS)
    Reliability(信頼性)故障が少ない:MTBF
    Availability(可用性)稼働率が高い
    Serviceability(保守性)障害箇所の発見が容易:MTTR
    Integrity(保全性)データの矛盾が発生しない
    Security(機密性)不正アクセスを防止

    信頼性設計の留意点

    フォールトトレラントシステム:システムのどこかで故障が発生しても動作を継続する高信頼システム

    フェールソフト:故障が発生したとき、故障個所を切り離し、性能が低下してもシステムの稼働を維持する機能(フォールバック)

    フェールセーフ:故障が発生したとき、あらかじめ決められた安定状態に機能を固定し、故障の影響範囲を限定する機能。

    フールプルーフ:不特定多数の使用者がいるプログラムにおいて、意図しない使われ方をしても故障しないような工夫をすること。

    ホットスタンバイ:同じシステムを予備系として並行稼働しておき、障害発生時に予備系に切り替える設計。

    フォールバック:故障した装置を切り離し、縮退運用すること。

    コールドスタンバイ:障害発生時には待機系を起動して切り替える方式。

    ウォームスタンバイ:システム(OS)は起動するが、業務システムは起動しないで待機させる方式。

    システムの経済性の評価

    システムの経済性を評価する際の考え方や評価項目、指標、対象、具体的な方法については以下のような要素が考慮されます。

    評価の考え方

    投資対効果分析(ROI):システム導入による利益とコストを比較し、投資の妥当性を評価します。

    現在価値分析:将来のキャッシュフローを現在価値に換算して、投資の価値を比較します。

    総所有コスト(TCO)分析:システムの導入から廃棄までの全体的なコストを考慮し、最終的なコストを評価します。

    評価項目と指標

    初期コスト(イニシャルコスト):システムの導入に関連する初期投資。

    運用コスト(ランニングコスト):システムの運用、保守、更新などに関連する継続的なコスト。

    直接コスト:明確に特定できるコスト(ハードウェアの購入費用、ソフトウェアライセンス料など)。

    間接コスト:間接的なコスト(トレーニングコスト、ダウンタイムによる生産損失など)。

    評価の対象と具体的な方法

    経済性分析:各システムの経済性を定量的に評価し、最もコスト効率の良い選択肢を特定します。

    TCO分析:システムの導入から廃棄までのライフサイクル全体のコストを計算し、比較します。

    投資対効果分析(ROI):導入による見込み利益とコストを比較し、投資の妥当性を判断します。

    これらの評価手法や指標を使用して、システムの経済性を評価することで、経済的な意思決定を行います。

    マルチプロセッサ

    密結合型:複数のプロセッサが主記憶を共有し、単一のOSで制御。負荷分散による処理能力向上ーOSでタスク間の同期をとる。プロセッサ数が増えると、競合が発生しやすくなる。

    疎結合型:複数のプロセッサが自分専用の主記憶を持つ。プロセッサの独立性が高いため競合が起こりにくい。プロセッサごとにOSが必要ー構成が複雑。プロセッサ感は入出力ポートで結ばれ同期をとる。

    科学の部屋[工学・化学]