学習には予習復習・反復学習が大事だとよく言います。これを実感されている人も多いと思いますが、ここでは科学的見地から見てみたいと思います。
エビングハウスが行った有名な実験があります。一世紀前に行われたものです。
その方法とは、無意味な文字の羅列をいくつか覚えさせ、時間経過とともにどのくらい記憶として残っているかというものです。
この実験では、だいたい、20分後に40%、一時間後に半分程度と急激に忘れて、それ以後は徐々になっていくということがわかりました。一日経っただけでも、三割程度しか覚えていられないのです。
また、数日後に同じ文字列での実験をしたところ、一回目よりも忘れにくくなっていました。二回目よりも三回目の方がその効果があったようです。つまり反復すればするほど、知識が定着するということです。
一か月間隔が空くと、この効果はないようです。思い出せないだけで、文字列が脳の中には残っていたということですね。反復学習の大きな利点です。
今度は二回目の実験を一回目と違う文字列でやったところ、一回目の記憶が以前よりも忘れやすくなったそうです。二回目の記憶という行動で一回目の記憶があいまいになったといえると思います。つまり、あまり同じ勉強を一気にするのは効率が悪いという事です。
『記憶力を強くする 』という本では、学習して一週間後に一回目の『復習』、その二週間後に二回目の『復習』、その一ヵ月後に三回目の『復習』をするのが科学的にみて能率がよいと紹介されています。
このことを知っているのと知っていないのとでは、大きな違いが出てくると思います。学習する時間は限られています。その中でいかに結果を出すか、うまく学習するかは、よい指導者・環境・教材のほかに、方法論があると思います。この方法論は知っていればどこの地域にいても環境に左右されずに取り入れることができます。
覚えたものは忘れてしまう虞があります。これは避けられない事実ですが、学習方法次第で忘れにくくすることは可能です。反復学習の大きな利点がここにあると思います。ただ闇雲に反復学習のメニューを決めるのではなく、記憶の仕組みを踏まえた方法を取り入れていくべきでしょう。
例を挙げておきます。
・ 同じ教科(単元)ばかりやるのではなく、いくつかの教科(単元)を振り分ける。
・ 一つの単元の終わりに総まとめをする。
・ 一日の勉強の終わりに全ての単元の総まとめをする。
・ 学校の勉強の予習復習をする
日頃の勉強の中に反復学習をうまく取り入れて欲しいと思います。