情報システム戦略
情報システム戦略
情報システム戦略
① 情報システム戦略の目的と考え方
経営戦略に沿って効果的な情報システム戦略を策定すること、情報システム戦略に基づいて情報システム化基本計画を策定すること、情報システム戦略遂行のための組織体制などを理解する。
用語例: 情報システム戦略評価
情報システム戦略評価: 経営戦略と整合性を保ちながら、情報システム戦略の効果と効率を評価するプロセス。戦略が企業目標の達成にどれだけ寄与しているかを測定するために行われる。
② 情報システム戦略の策定手順
情報システム戦略を策定する際の手順を理解する。
［手順の例］
(ⅰ) 経営戦略の確認:
経営の基本方針や目標を明確にし、情報システム戦略の方向性を設定する。
(ⅱ) 業務環境の調査、分析:
現在の業務環境を詳細に調査し、強みや弱み、機会や脅威を分析する。
(ⅲ) 業務、情報システム、情報技術の調査、分析:
現行の業務プロセス、情報システム、情報技術の現状を把握し、改善点を特定する。
(ⅳ) 基本戦略の策定:
経営戦略に基づいて情報システムの基本戦略を策定し、全体的な方向性を示す。
(ⅴ) 業務の新イメージ作成:
将来的な業務のあり方を具体的にイメージし、目標とする業務プロセスを設計する。
(ⅵ) 情報システムの対象の選定と投資目標の策定:
情報システム化の対象となる業務やシステムを選定し、それに対する投資目標を設定する。
(ⅶ) 情報システム戦略案の策定:
具体的な戦略案を作成し、実行可能な計画を立案する。
(ⅷ) 情報システム戦略の承認:
経営層や関係者から戦略案の承認を得て、正式な戦略として確定する。
情報システム戦略の策定の留意事項
情報システム戦略を策定する際の留意事項を理解する。
用語例: 経営課題解決，事業展開，競争優位，情報システム構築，業務革新，情報技術の動向，情報基盤整備，情報システム化範囲，経営資源配分，業務プロセス標準化，業務モデル，ビジネスモデル，新技術導入，情報システム投資環境，投資効果，情報資産管理，BCP（Business Continuity Plan：事業継続計画），コンプライアンス，IT 経営力指標，リスクマネジメント，情報セキュリティ
用語解説:
経営課題解決: 経営における主要な問題や課題を解決するための戦略や施策。
事業展開: 企業が新しい市場や製品領域に進出する活動。
競争優位: 競争相手よりも優位に立つための戦略や能力。
情報システム構築: 組織の目的を達成するための情報システムを設計・開発するプロセス。
業務革新: 業務プロセスを革新し、効率化や効果を高める取り組み。
情報技術の動向: 最新の情報技術の進展やトレンド。
情報基盤整備: 情報システムを支える基盤を整備すること。
情報システム化範囲: 情報システム化の対象とする業務やプロセスの範囲。
経営資源配分: 人材、資金、設備などの経営資源を効率的に配分すること。
業務プロセス標準化: 業務プロセスを標準化し、一貫性や効率性を高める取り組み。
業務モデル: 業務の基本的な構造や手順を示すモデル。
ビジネスモデル: 企業が価値を提供し、収益を上げる仕組み。
新技術導入: 最新の技術を導入し、業務や製品に応用すること。
情報システム投資環境: 情報システムへの投資に適した環境や条件。
投資効果: 情報システムへの投資によって得られる効果や利益。
情報資産管理: 情報資産を適切に管理し、保護すること。
BCP（事業継続計画）: 事業の中断を最小限に抑え、迅速に復旧するための計画。
コンプライアンス: 法令や規則、倫理規範に従って業務を行うこと。
IT経営力指標: ITを活用した経営の効果を測定するための指標。
リスクマネジメント: リスクを識別し、評価し、対策を講じるプロセス。
情報セキュリティ: 情報資産を守るためのセキュリティ対策や管理。
情報システム化基本計画
情報システムで目指すべき将来像を、中長期の情報システム化基本計画としてまとめる必要性を理解する。
用語例: ITガバナンスの実現，経営戦略との整合性，情報システムのあるべき姿（To-beモデル），組織や業務の変更方針，情報セキュリティ方針，業務固有のルール・規制・関連法規など，社内外利害関係者との調整と合意，システム構築・運用のための標準化方針及び品質方針，外部資源の活用，システム管理基準
用語解説:
ITガバナンスの実現: ITを適切に統制し、企業の目標達成を支援する仕組みを確立すること。
経営戦略との整合性: 情報システム戦略が経営戦略と一貫性を持つようにすること。
情報システムのあるべき姿（To-beモデル）: 将来の情報システムの理想的な状態を示すモデル。
組織や業務の変更方針: 組織や業務プロセスをどのように変更・改善するかの方針。
情報セキュリティ方針: 情報セキュリティを確保するための基本的な方針。
業務固有のルール・規制・関連法規など: 業務に関連する特定のルールや規制、法規制。
社内外利害関係者との調整と合意: 社内外の利害関係者と意見調整を行い、合意を得ること。
システム構築・運用のための標準化方針及び品質方針: システム構築や運用に関する標準化や品質管理の方針。
外部資源の活用: 外部の専門家やサービスを活用してシステム構築や運用を行うこと。
システム管理基準: システムの管理や運用に関する基準。
情報システム戦略遂行のための組織体制
情報システム戦略遂行のための組織体制を理解する。
用語例: CIO，情報システム戦略委員会，情報システム部門
用語解説:
CIO（Chief Information Officer）: 最高情報責任者。情報システム戦略の策定と実行を統括する役職。
情報システム戦略委員会: 情報システム戦略の策定や遂行に関する意思決定を行う委員会。
情報システム部門: 情報システムの運用・管理を担当する部門。
情報システム投資計画
情報システム投資計画は、経営戦略との整合性を考慮して策定すること、計画の決定に際してその影響、効果、期間、実現性などの観点から複数の選択肢を検討する必要があることなどを理解する。
用語例: 情報システム投資方針，IT投資マネジメント，確保すべき経営資源，投資効果やリスク算定の方法
用語解説:
情報システム投資方針: 情報システムに対する投資の基本的な方針や指針。
IT投資マネジメント: ITへの投資を計画、実行、評価するための管理手法。
確保すべき経営資源: 情報システムの投資に必要な資金、人材、技術などの経営資源。
投資効果やリスク算定の方法: 情報システム投資の効果やリスクを評価するための手法。
個別の開発計画（個別計画）
情報システム化基本計画に従って、優先順位を明確にして個別の開発計画（個別計画）を立案すること、企業の戦略性を向上させるためのシステムとして、企業全体または事業活動の統合管理を実現するシステム、企業間の一体運営に資するシステムがあることを理解する。
用語例: 基幹系システム，ERP（Enterprise Resource Planning：企業資源計画），SCM，CRM（Customer Relationship Management：顧客関係管理），SFA，KMS（Knowledge Management System：知識管理システム），シェアードサービス
用語解説:
基幹系システム: 企業の基幹業務を支えるための情報システム。
ERP（Enterprise Resource Planning）: 企業の資源を統合的に管理するためのシステム。
SCM（Supply Chain Management）: 供給チェーン全体を効率的に管理するためのシステム。
CRM（Customer Relationship Management）: 顧客との関係を管理し、強化するためのシステム。
SFA（Sales Force Automation）: 営業活動を自動化し、効率化するためのシステム。
KMS（Knowledge Management System）: 知識を管理し、共有するためのシステム。
シェアードサービス: 企業内の共通業務を集約し、効率的に運営するためのサービス。
モデル
企業経営システムのモデルを理解する。
用語例: ビジネスモデル，業務モデル，情報システムモデル
用語解説:
ビジネスモデル: 企業がどのようにして価値を創出し、収益を上げるかの基本的な枠組み。
業務モデル: 企業の業務プロセスや手順を示すモデル。
情報システムモデル: 企業の情報システムの構造や機能を示すモデル。
エンタープライズアーキテクチャ
エンタープライズアーキテクチャ
① エンタープライズアーキテクチャの目的と考え方
EA（Enterprise Architecture：エンタープライズアーキテクチャ）は、組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムを同時に改善することを目的とした、組織の設計・管理手法であること、全体最適化を図るためのアーキテクチャモデルを作成し、目標を明確に定めることが必要であることを理解する。
アーキテクチャモデルは、業務とシステムの構成要素を記述したモデルのことで、組織全体として業務プロセス、業務に利用する情報、情報システムの構成、利用する情報技術の領域のアーキテクチャ（それぞれ、ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジアーキテクチャと呼ばれる）を整理し、システム全体の現状と理想像を表現することを理解する。
用語例: ザックマンフレームワーク，業務・システム最適化，As-is モデル，To-be モデル，参照モデル，EAI（Enterprise Application Integration）
用語解説:
ザックマンフレームワーク: エンタープライズアーキテクチャのフレームワークの一つで、組織の構成要素を詳細に定義し、統一的に管理するためのツール。
業務・システム最適化: 組織全体の業務プロセスとシステムを最適化し、効率化を図ること。
As-is モデル: 現在の業務プロセスやシステムの状態を示すモデル。
To-be モデル: 目標とする将来の業務プロセスやシステムの状態を示すモデル。
参照モデル: 特定の業界や領域で広く受け入れられている標準的なモデルを指し、新しいシステムの設計や開発の基準として使用される。
EAI（Enterprise Application Integration）: 企業内の異なるアプリケーションを統合し、データやビジネスプロセスをシームレスに連携させるための技術や手法。
② ビジネスアーキテクチャ
BA（Business Architecture：ビジネスアーキテクチャ）は、組織の目標や業務を体系化したアーキテクチャであることを理解する。
用語例: 業務説明書，DFD，WFA（Work Flow Architecture：業務流れ図），UML
用語解説:
業務説明書: 組織の業務内容や手順を詳細に記述した文書。業務の目的、範囲、手順、担当者などが含まれる。
DFD（Data Flow Diagram）: データの流れとプロセスを視覚的に表現した図。システムの動作やデータの流れを理解するために使用される。
WFA（Work Flow Architecture）: 業務の流れやプロセスを視覚的に表現した図。業務プロセスの効率化や改善のために使用される。
UML（Unified Modeling Language）: ソフトウェア工学で使用される標準的なモデリング言語。システムの構造や動作を視覚的に表現するための図やシンボルのセット。
③ データアーキテクチャ
DA（Data Architecture：データアーキテクチャ）は、組織の目標や業務に必要となるデータの構成、データ間の関連を体系化したアーキテクチャであることを理解する。
用語例: データ定義表，情報体系整理図（UML のクラス図），E-R 図
用語解説:
データ定義表: データ項目の定義や属性を詳細に記述した表。データベース設計や管理に使用される。
情報体系整理図（UML のクラス図）: データの構造とその関連性を視覚的に表現した図。クラス図はUMLの一部で、システムの静的構造を示す。
E-R 図（Entity-Relationship 図）: データベース設計において、エンティティ（実体）とその関係を視覚的に表現した図。データの構造や関連性を理解するために使用される。
④ アプリケーションアーキテクチャ
AA（Application Architecture：アプリケーションアーキテクチャ）は、組織としての目標を実現するための業務と、それを実現するアプリケーションソフトウェアの関係を体系化したアーキテクチャであることを理解する。
用語例: 情報システム関連図，情報システム機能構成図，SOA（Service Oriented Architecture：サービス指向アーキテクチャ）
用語解説:
情報システム関連図: 組織内の各情報システムの関連性や相互作用を視覚的に示した図。情報システムの全体像を把握するために使用される。
情報システム機能構成図: 各情報システムの機能を階層的に整理し、システム全体の機能構成を視覚的に表現した図。機能の重複や欠落を確認するために使用される。
SOA（Service Oriented Architecture: サービス指向アーキテクチャ）: ソフトウェアの機能をサービスとして提供し、これらのサービスを組み合わせてシステム全体を構築するアーキテクチャ。柔軟で再利用可能なシステム構築を可能にする。
⑤ テクノロジアーキテクチャ
TA（Technology Architecture: テクノロジアーキテクチャ）は、業務を実現するためのハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどの技術を体系化したアーキテクチャであることを理解する。
用語例: ハードウェア構成図，ソフトウェア構成図，ネットワーク構成図
用語解説:
ハードウェア構成図: システムを構成するハードウェアの配置や相互接続を視覚的に示した図。サーバ、ストレージ、ネットワーク機器などの構成を理解するために使用される。
ソフトウェア構成図: システムを構成するソフトウェアの構造や配置、相互関係を視覚的に示した図。アプリケーションソフトウェア、ミドルウェア、オペレーティングシステムなどの構成を理解するために使用される。
ネットワーク構成図: ネットワーク機器の配置や接続、データフローを視覚的に示した図。ネットワークの構造や通信経路を理解するために使用される。
プログラムマネジメント
プログラムマネジメントは、目的や目標が明確な複数のプロジェクトを有機的に組み合わせたプログラムが、プロジェクト相互の関係を最適化して、全体として使命をより良く達成するように統合する活動であることを理解する。
用語例: PMO（Program Management Office：プログラムマネジメントオフィス）、プログラム統合
用語解説:
PMO（Program Management Office：プログラムマネジメントオフィス）: プログラムやプロジェクトの管理を支援する専門の部署やグループ。PMOはプロジェクトマネジメントの標準化、リソースの調整、プロジェクトの進捗管理などを行い、プログラム全体の成功を支援する。
プログラム統合: 複数のプロジェクトを効果的に統合し、全体としての目標達成を最適化するプロセス。これにはプロジェクト間の調整、リソースの配分、リスク管理などが含まれる。
オーナー
情報システムでは、システムオーナーは情報システムの責任者を指し、データオーナーは情報システムが保有するデータに関する責任者を指すこと、および関連する各部門の役割を理解する。
用語例: CIO、システム利用部門、業務部門
用語解説:
CIO（Chief Information Officer：最高情報責任者）: 企業や組織の情報システム全般の戦略、導入、運用を統括する責任者。情報技術を駆使してビジネス目標を達成するための戦略を策定し、実行する。
システム利用部門: 情報システムを利用して業務を遂行する部門。システムの要件定義や利用方法の決定に関与し、システムの効果的な運用を支援する役割を持つ。
業務部門: 企業や組織の主要な業務を担当する部門。情報システムの導入により業務効率を向上させるための要件を提供し、システムの利用に関するフィードバックを行う。
フレームワーク
全社的な組織構造の中に情報システム関連の組織を組み込み、位置付けと使命を明確にするとともに、情報システムの統制についての要件を定義し、明確化することを理解する。また、フレームワークには、プロセスフレームワーク、コントロールフレームワークなどがあることを理解する。
用語例: コントロール目標、COBIT（Control Objectives for Information and related Technology）、ITIL（Information Technology Infrastructure Library）、システム管理基準、SLCP-JCF（共通フレーム）、COSO（Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission）、財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準、KGI（Key Goal Indicator：重要目標達成指標）、KPI（Key Performance Indicator：重要業績評価指標）
用語解説:
コントロール目標: 情報システムや業務プロセスの効果的な管理と統制を達成するための目標。これにより、リスクの最小化とパフォーマンスの最大化を図る。
COBIT（Control Objectives for Information and related Technology）: 情報技術の管理とガバナンスを支援するためのフレームワーク。企業の情報システムの効果的な管理を目的とし、具体的なコントロール目標とベストプラクティスを提供する。
ITIL（Information Technology Infrastructure Library）: ITサービス管理のベストプラクティスをまとめたフレームワーク。ITサービスの計画、提供、サポートに関する標準的なプロセスを定義し、ITサービスの品質向上と効率化を支援する。
システム管理基準: 情報システムの管理と運用に関する基準。システムの信頼性、可用性、安全性を確保するためのガイドラインを提供する。
SLCP-JCF（共通フレーム）: ソフトウェアライフサイクルプロセス（SLCP）における共通フレームワーク。ソフトウェア開発および運用の標準的なプロセスを提供し、品質の向上と効率化を図る。
COSO（Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission）: 内部統制とリスク管理のフレームワークを提供する組織。内部統制の有効性を評価するためのガイドラインを提供する。
財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準: 企業の財務報告に関する内部統制を評価し、監査するための基準。内部統制の有効性を評価し、報告するための具体的な手順を提供する。
KGI（Key Goal Indicator：重要目標達成指標）: 組織の目標達成状況を測定するための指標。組織の戦略目標に対する進捗状況を評価するために使用される。
KPI（Key Performance Indicator：重要業績評価指標）: 組織のパフォーマンスを測定するための指標。具体的な業績目標に対する進捗状況を評価し、改善のための指標として使用される。
（6）品質統制
情報システムにかかる標準に対する準拠性を確保し、継続的な遵守状況をモニタリングし、情報システムの品質を確保するための組織、体制、一連の活動であることを理解する。
用語例: 品質統制フレームワーク、管理プロセス
用語解説:
品質統制フレームワーク: 情報システムの品質を確保するための一連の規則やガイドライン。これにより、システムの開発・運用において一貫した品質管理を行う。
管理プロセス: 情報システムの品質を管理するための手順や活動のこと。品質目標の設定、進捗のモニタリング、品質向上のための改善策の実施などを含む。
（7）情報システム戦略実行マネジメント
情報システム戦略の実行状況をモニタリングし、情報システム戦略の実現を確保する一連の活動であることを理解する。
用語例: モニタリング指標、差異分析、リスクへの対応
用語解説:
モニタリング指標: 情報システム戦略の実行状況を評価するための具体的な指標。これにより、戦略の進捗状況や達成度を測定し、必要な改善策を講じる。
差異分析: 計画と実際の実行結果との間の差異を分析すること。これにより、計画通りに進んでいない部分を特定し、適切な対応を行う。
リスクへの対応: 情報システム戦略の実行において発生する可能性のあるリスクを特定し、それに対する適切な対応策を講じること。リスクの発生を最小限に抑え、戦略の実現を確保する。
業務プロセス
業務プロセスの改善と問題解決
業務プロセスの改善と問題解決
① 業務プロセスの改善と問題解決
既存の組織構造や業務プロセスを見直し、効率化を図るとともに、情報技術を活用して業務・システムを最適化する考え方を理解する。
用語例: RPA（Robotic Process Automation）
用語解説:
RPA（Robotic Process Automation）: ソフトウェアロボットを使って定型的な事務作業を自動化する技術。これにより、業務の効率化と精度向上を図ることができる。
② ビジネスプロセスマネジメント
BPM（Business Process Management：ビジネスプロセスマネジメント）の目的、考え方、手順を理解する。また、業務分析、業務設計、業務の実行、モニタリング、評価のサイクルを繰り返し、継続的な業務プロセスの改善を図ること、BPMS（Business Process Management System）の機能を理解する。
用語例: SFA（Sales Force Automation）、ワークフローシステム、PDCA
用語解説:
SFA（Sales Force Automation）: 営業活動を支援するための情報技術。顧客管理や営業プロセスの自動化により、営業効率の向上と業績の改善を目指す。
ワークフローシステム: 業務プロセスを定義し、関係者間の作業の流れを管理・自動化するシステム。業務の効率化と正確な進行管理が可能となる。
PDCA: Plan（計画）、Do（実行）、Check（評価）、Act（改善）のサイクルを繰り返し、継続的に業務プロセスの改善を図る手法。ビジネスプロセスマネジメントにおいても、このサイクルを利用して改善活動を行う。
業務プロセスの改善と問題解決
③ ビジネスプロセスリエンジニアリング
BPR（Business Process Reengineering：ビジネスプロセスリエンジニアリング）の目的、手順、考え方を理解する。
用語例: プロセス視点、顧客志向、顧客価値向上
用語解説:
プロセス視点: 業務プロセス全体を一連の流れとして捉え、効率的かつ効果的に進行するように設計・改善する視点。
顧客志向: 業務プロセスの設計や改善を行う際に、常に顧客のニーズや期待を最優先に考慮すること。
顧客価値向上: 顧客が受け取る価値を最大化するために、業務プロセスの効率化や質の向上を図ること。
④ ビジネスプロセスアウトソーシング
BPO（Business Process Outsourcing：ビジネスプロセスアウトソーシング）の目的、手順、考え方を理解する。
用語例: アウトソーシング、オフショア
用語解説:
アウトソーシング: 自社の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することにより、コスト削減や業務効率の向上を図ること。
オフショア: 業務プロセスの一部を海外の企業に委託することにより、コスト削減や24時間体制での業務遂行を実現すること。
⑤ 業務プロセスの可視化の手法
WFA（Work Flow Architecture：業務流れ図）、BPD（Business Process Diagram：BP 図）、E-R 図などの手法を用いて業務プロセスを把握、分析して問題点を発見し、業務改善の提案を行うことを理解する。
用語例: IDEF（Integrated DEFinition methods：統合化定義方法論）、BPMN（Business Process Model and Notation）、E-R モデル、フローチャート、状態遷移図、UML、DFD
用語解説:
IDEF（Integrated DEFinition methods）: 業務プロセスやシステムのモデリングに用いる方法論の一つ。特に、製造業におけるプロセスの設計や改善に利用される。
BPMN（Business Process Model and Notation）: 業務プロセスを視覚的に表現するための標準的な記法。業務フローの設計や改善に役立つ。
E-R モデル: エンティティ（実体）とその関係を視覚的に表現するためのモデル。データベースの設計に広く用いられる。
フローチャート: プロセスやシステムの流れを視覚的に表現する図。業務手順やシステム動作の理解に役立つ。
状態遷移図: システムやプロセスがどのように状態を変化させるかを視覚的に表現する図。特にソフトウェアの設計に用いられる。
UML（Unified Modeling Language）: ソフトウェア工学における視覚モデリング言語。システムの構造や動作を視覚的に表現するための様々な図が含まれる。
DFD（Data Flow Diagram）: システム内のデータの流れを視覚的に表現する図。データの入出力やプロセスの理解に役立つ。
ソリューションビジネス
ソリューションビジネス
ソリューションビジネスは、情報技術の進展や経営環境の複雑化に伴い、顧客の経営課題を解決するためのサービスを提案・提供するビジネスモデルです。このビジネスでは、顧客の課題を深く理解し、適切な解決策を提供することが求められます。さらに、顧客との信頼関係を構築・維持することが成功の鍵となります。
用語例と解説
ソリューション:
顧客の特定の課題やニーズに対応するために提供される包括的なサービスや製品の組み合わせ。通常は、カスタマイズされたサービスやソフトウェア、ハードウェアのセットです。
ソリューションプロバイダ:
顧客に対してソリューションを提供する企業や団体。これには、システムインテグレーター、コンサルティングファーム、ITサービスプロバイダーなどが含まれます。
業務システム提案:
顧客の業務プロセスやニーズに基づいて、最適なシステムやサービスを提案すること。この提案は、効率化や業務改善を目的として行われます。
業務パッケージ:
特定の業務領域に特化した標準的なソフトウェア製品やサービスのセット。これにより、導入やカスタマイズの手間を省き、迅速な展開が可能になります。
問題解決支援:
顧客が直面する具体的な問題に対して、解決策を提供する活動。これには、コンサルティングサービスや技術サポートが含まれます。
システムインテグレーション:
複数の異なるシステムやソフトウェアを統合し、全体として機能する一つのシステムを構築するプロセス。これにより、異なるシステム間の連携がスムーズになり、業務効率が向上します。
ソリューションサービスの種類
ソリューションサービスには多種多様な種類があり、顧客のニーズや業務環境に応じて選択されます。以下に主要なソリューションサービスの種類とその特徴、考え方、留意事項を説明します。
① クラウドサービス
クラウドサービスは、インターネット経由で提供されるコンピューティングリソースやサービスの総称です。以下に代表的な種類と特徴を示します。
クラウドサービス（SaaS、PaaS、IaaSなど）:
SaaS（Software as a Service）：ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス。例として、Google WorkspaceやSalesforceがあります。
PaaS（Platform as a Service）：アプリケーション開発プラットフォームを提供するサービス。例として、Google App EngineやMicrosoft Azureがあります。
IaaS（Infrastructure as a Service）：仮想化されたコンピューティングリソースを提供するサービス。例として、Amazon Web Services（AWS）やMicrosoft Azureがあります。
パブリッククラウド:
複数のユーザーや企業が共有して利用するクラウド環境。コスト効率が高く、スケーラビリティがありますが、セキュリティ面での配慮が必要です。
プライベートクラウド:
単一の組織専用のクラウド環境。セキュリティやコンプライアンスの管理がしやすい反面、コストが高くなる場合があります。
ハイブリッドクラウド:
パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせた環境。柔軟性が高く、コストとセキュリティのバランスが取れています。
ASP（Application Service Provider）:
アプリケーションをインターネット経由で提供するサービス。従来型のSaaSに類似しています。
BPO（Business Process Outsourcing）:
ビジネスプロセスの一部または全部を外部のサービスプロバイダーに委託すること。コスト削減や業務効率化が期待できます。
オンデマンド:
必要な時に必要な分だけのサービスを提供する形態。リソースの無駄を減らすことができます。
SOA（Service Oriented Architecture）:
サービス指向アーキテクチャ。アプリケーションの機能をサービスとして提供し、それらを組み合わせることで柔軟なシステム構築を実現します。
② その他のソリューションサービス
業種別、業務別、課題別など多様なソリューションサービスが提供されています。それぞれの特徴や留意事項を以下に示します。
アウトソーシングサービス:
企業の特定業務を外部企業に委託するサービス。コスト削減や専門性の活用が可能です。
ホスティングサービス:
Webサイトやアプリケーションのサーバー運用を外部に委託するサービス。管理負担を軽減できます。
ハウジングサービス:
企業が所有するサーバーを外部データセンターに設置し、運用管理を委託するサービス。セキュリティやバックアップ体制が整っています。
ソフトウェアパッケージの適用サービス:
企業のニーズに合わせて、既製のソフトウェアパッケージを導入・カスタマイズするサービス。迅速な導入が可能です。
オンプレミス:
企業内部に情報システムを設置・運用する形態。データの管理やセキュリティが強化されます。
CRMソリューション:
顧客関係管理システム。顧客データを一元管理し、マーケティングやセールスの効率化を図ります。
セキュリティソリューション:
情報システムのセキュリティ対策を提供するサービス。ウイルス対策や不正アクセス防止などが含まれます。
業務パッケージ:
特定の業務プロセスに特化したソフトウェアパッケージ。例として、会計ソフトや人事管理システムがあります。
ERPパッケージ:
企業全体の資源を一元管理するシステム。財務、人事、生産、販売などの各部門のデータを統合管理します。
システム活用促進・評価
システム活用促進・評価
システム活用促進と評価は、情報システムを効果的に運用し、経営に貢献させるための重要な活動です。以下に、その目的と考え方について説明します。
① システム活用促進と評価の目的と考え方
情報システムの活用を促進し、その効果を最大限に引き出すためには、システムの構築段階から利用者に対してシステムの有用性を啓発し、普及を図ることが重要です。また、システムの利用実態を定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことで、システムの効果を持続的に高めることができます。
目的：
- 情報システムの利用促進：ユーザーにシステムの利便性や有効性を理解してもらい、積極的に利用してもらう。
- 経営目標の達成：情報システムを活用して経営の効率化や競争力の向上を図る。
- システムの効果検証：システムの利用状況を評価し、効果を検証して改善点を特定する。
考え方：
- 普及啓発活動：システム導入時からユーザー教育やトレーニングを行い、システムの利用促進を図る。
- 継続的評価：定期的にシステムの利用状況をモニタリングし、利用実態を評価する。
- 改善のフィードバック：評価結果を基にシステムや業務プロセスの改善を行う。
手順：
- システム導入前の準備：ユーザー教育計画の策定、トレーニング実施。
- システム導入後のフォローアップ：ユーザーの利用状況を観察し、サポートを提供。
- 定期的な利用状況の評価：アンケートやインタビューを通じて利用状況を把握。
- 改善策の実施：評価結果を基にシステムや運用プロセスの改善を行う。
用語例：
BYOD（Bring Your Own Device）：個人所有のデバイスを業務で利用すること。利便性向上やコスト削減のメリットがあるが、セキュリティ管理が重要。
チャットボット：人工知能を使った自動応答システム。ユーザーサポートや業務効率化に役立つ。
② 情報リテラシー
情報リテラシーは、経営目標の実現に向けて情報を安全かつ効果的に活用するための能力です。これには、情報の収集、分析、評価、そして効果的な活用が含まれます。
目的：
- 情報の安全な活用：情報セキュリティの確保とリスク管理。
- 情報の有効活用：情報を用いて意思決定を支援し、業務効率化を図る。
- 情報の効率的活用：適切な情報管理と共有による業務プロセスの改善。
考え方：
- 教育とトレーニング：情報リテラシーの向上には継続的な教育が必要。
- 情報セキュリティ：情報を保護し、安全に管理するためのルールと手順を徹底する。
- 効果的な情報活用：収集した情報を分析し、意思決定や問題解決に役立てる。
用語例：
ビジネスモデルの実現：情報リテラシーを活用してビジネスモデルを実現し、競争力を高める。
③ データの分析及び活用
情報システムに蓄積されたデータを活用することで、事業戦略を効果的に展開するための手法を理解することが重要です。データサイエンスの手法を駆使してデータを分析し、その結果を基に意思決定を行うことで、競争力を高めることができます。
目的：
- 事業戦略の強化：データ分析に基づいて事業戦略を策定し、事業展開を効果的に行う。
- 意思決定の支援：データに基づいた意思決定を行い、リスクを低減し、効率を向上させる。
- 競争力の向上：市場動向や顧客ニーズを把握し、競争力を高める施策を実施する。
考え方：
- データサイエンスの活用：データマイニングや機械学習などの技術を活用してデータを分析する。
- 継続的なデータ収集：定期的にデータを収集し、分析に役立てる。
- データ駆動型の意思決定：分析結果に基づいて意思決定を行う。
手順：
- データの収集：ビッグデータやオープンデータなど、必要なデータを収集する。
- データの整理と前処理：収集したデータを整理し、分析しやすい形に整える。
- データの分析：BIツールやデータマイニング技術を用いてデータを分析する。
- 分析結果の可視化：経営ダッシュボードなどを用いて、分析結果を視覚的に表示する。
- 意思決定と実行：分析結果に基づいて戦略を策定し、実行に移す。
用語例：
KM（Knowledge Management：ナレッジマネジメント）：組織内の知識を共有し、活用するための手法。
データマイニング：大量のデータから有用なパターンや知識を発見する手法。
BI（Business Intelligence）ツール：データの収集・分析・可視化を支援するツール。
アドホック分析：特定の目的や課題に応じて行う臨時のデータ分析。
経営ダッシュボード：経営情報を一目で把握できるようにするためのツール。
エンタープライズサーチ：企業内のデータや情報を横断的に検索するシステム。
ビッグデータ：従来のデータベースシステムでは処理できないほど大規模なデータ。
オープンデータ：誰でも利用できるように公開されたデータ。
パーソナルデータ：個人に関するデータ。
データサイエンティスト：データの収集・分析・解釈を専門とする職種。
④ 普及啓発
情報システムの効果的な活用を促進するためには、ユーザーへの教育や訓練が重要です。普及啓発活動を通じて、ユーザーがシステムの機能や利便性を理解し、最大限に活用できるよう支援します。
目的：
- ユーザーの理解促進：情報システムの機能や利便性をユーザーに理解させる。
- システムの効果的な利用：ユーザーがシステムを効果的に利用できるよう支援する。
- デジタルディバイドの解消：情報リテラシーの向上により、デジタルディバイドを解消する。
考え方：
- 継続的な教育：e-ラーニングや講習会などを通じて、継続的に教育を行う。
- 実践的な訓練：実際の業務に即した訓練を行い、ユーザーのスキルを向上させる。
- 利用マニュアルの提供：システム利用マニュアルや業務マニュアルを提供し、ユーザーを支援する。
用語例：
システム利用マニュアル：情報システムの使い方を説明するマニュアル。
業務マニュアル：業務手順を説明するマニュアル。
e-ラーニング：インターネットを利用した教育・訓練。
講習会：特定のテーマについて講義や実習を行う場。
人材育成計画：組織の目標に合わせた人材育成の計画。
ゲーミフィケーション：ゲームの要素を取り入れた学習や訓練。
デジタルディバイド：情報技術の利用格差。
⑤ 情報システム利用実態の評価・検証
情報システムの投資対効果分析や利用実態の評価・検証を行うことは、情報システムが組織の目標に対してどの程度効果的に機能しているかを把握し、改善の方向性を明確にするために重要です。以下に具体的なポイントを示します。
目的：
- 投資対効果の分析：情報システムへの投資がどの程度の効果をもたらしているかを評価する。
- 利用実態の把握：システムの利用状況を詳細に調査し、ユーザーの満足度や利用頻度を把握する。
- 業務プロセスの改善：業務フローや内容の変更点を確認し、必要な改善を特定する。
考え方：
- 客観的評価：外部専門家を活用して第三者評価を行い、評価の客観性と信頼性を高める。
- 継続的なモニタリング：システムの運用状況を継続的にモニタリングし、ログ分析を通じて問題点を早期に発見する。
手順：
- 投資対効果分析の実施：定量的なデータを用いて投資の効果を分析する。
- システム利用実態の調査：ユーザーアンケートやログ分析を通じて、システムの利用状況を把握する。
- 業務プロセスの評価：業務内容やフローの変更点を確認し、評価・検証する。
- 改善の方向性と目標の設定：評価結果に基づき、改善の方向性と具体的な目標を設定する。
用語例：
投資対効果分析：情報システムへの投資がもたらす効果を評価する分析手法。
利用者満足度：システムを利用するユーザーの満足度を評価する指標。
モニタリング：システムの運用状況を継続的に監視すること。
ログ分析：システムの利用履歴を分析して問題点を発見する手法。
ログ監視：システムのログを継続的に監視してセキュリティやパフォーマンスの問題を検出すること。
第三者評価・検証：外部の専門家によるシステム評価・検証。
学習マネジメントシステム：教育や訓練のためのシステムを管理するためのソフトウェア。
⑥ 情報システム廃棄
情報システムやソフトウェアの寿命が尽きた場合、その廃棄を適切に行い、新たなシステムの導入を検討する必要があります。以下に廃棄の手順と留意事項を示します。
目的：
- 適切な資源配分：老朽化したシステムを廃棄し、新しいシステムに投資することで、資源を効果的に配分する。
- セキュリティの確保：廃棄するシステムからデータを完全に消去し、情報漏洩を防止する。
考え方：
- システムライフサイクルの管理：システムの導入から廃棄までのライフサイクルを適切に管理する。
- 適切な廃棄手順の実施：廃棄計画を策定し、計画に従って廃棄を実施する。
手順：
- 評価と検証：システムの機能、性能、運用性、拡張性、コストなどを評価し、廃棄の必要性を確認する。
- 廃棄計画の策定：廃棄の手順やスケジュールを詳細に策定する。
- データの消去：廃棄するシステムから全てのデータを完全に消去する。
- システムの物理的廃棄：ハードウェアの廃棄やリサイクルを適切に行う。
- 新システムの導入検討：新しい情報システムの導入を計画し、必要な準備を行う。
用語例：
システムライフサイクル：システムの導入から廃棄までの全期間。
減価償却：資産の価値を使用期間にわたって配分する会計手法。
情報セキュリティポリシー：情報セキュリティに関する組織の基本方針。
データの消去：廃棄するシステムからデータを完全に削除すること。