学力向上などを理由として、従来の一斉授業から、少人数学級・習熟度別授業に移行する流れとなっています。
そこで一つ福岡県のある地域の試みを紹介したいと思います。これは、「AERA」04'7.5号に掲載されたものです。
A校では習熟度別学習を実施していて、B校では一斉授業ではあるが読み書き計算の基礎基本を徹底していました。そこで同じ教科・学年で、両校のテストの出来を比較したのです。
結果は習熟度別よりも基礎学力を充実させた一斉授業のほうが平均点があがり、底辺の底上げに効果がある結果が出たのです。
この試みで言える事は、少人数・習熟度別学習にしたとしても、「授業の内容」を考えなければ効果が思ったほど見込めないということです。大人数の一斉授業でも良い授業をすれば、生徒の学力は向上するのです。
子供たちの学力の習熟度をみていると、まずは基礎学力の充実に重きをおくべきだと思います。小学生の3割、中学生の5割、高校生の7割が「授業についていけない」を考えている現状は、授業を聞くだけの十分な基礎学力が身についていないからです。
学習の中には「記憶」する分野と「理解」する分野があると思います。「記憶」する分野は、納得するしないは関係なく、ただ反復学習で身に付けさせることが大事です。
考える力を身に付けさせるには、まずは考える基礎となる「知識」が必要です。いくら考える力を養う授業をやろうとしても、基礎学力が身についていなければ、無理な話です。
習熟度別学習と基礎基本の徹底は、相反するものではありません。両方取り入れていくべきです。習熟度別に分けたからできる基礎学力の充実のさせ方があるはずです。
教育改造論にも少し書いているので参考にしてみてください。