雨宮勇徒の研究室教育問題

理解を深める

これまでの過程では本や雑誌を読むという一方的な情報の流れだけだった。読んだ内容を本当に理解しているかという不安に陥るかもしれない。何となく覚えている程度の漠然とした記憶しかない人も多いことだ。  

必要とする理解度が人によって異なるだろうが、せっかく勉強してきたのだから知識を十分に自分のものにしたい。どのくらい理解しているか確かめてみよう。  

最低限、どの本のどこに何が書かれてあったかという程度の記憶があればよい。すべての内容を覚えている必要はない。疑問点があれば、そこを調べればよいのである。読んだ本の内容の記憶が曖昧なら、できれば再読してから次のステップに進んでほしい。これから、読んでいくだけでは難しかった理解の充実を行う。  

本の精読をやったことで、一冊ごとの内容の理解は少なからず進んできたはずだ。今から学問の全体像を考えながら、内容の理解に努める段階に入る。  

たくさんの本を読むことで、一冊ごとの主張に偏らず中立な視野がだいたい身に付いている。全ての情報をまとめて一つの理解とするために、本から得た情報を自分のものとして練り直す必要がある。それには内容をまとめてノートを作る作業が有効である。本当に理解しているかこの段階でわかるのだ。  

まずノートを作るテーマを決める。学問の流れを見ていくつかの単元に分け、最初に何を持ってくればよいか考える。読んできた本で書かれている順序はそれほど変わらないので、参考になると思う。  

できなけれは、自分が重要だと考える箇所、各本で説明が大きく取られている点を選択し、後から肉付けや並べ直しをすればよい。  

決まった一つずつの単元について、各本の知識や情報を抜き取り、まとめていく。本を読みながら書き移していってもよいが、できれば本から語句や要点をメモし、自分の言葉で説明していく。ノートを作っているときは本を見なくて、メモだけでできるとよい。  

この作業が難しいのなら、一つ基本となる本を決めて、その内容を中心に各本を見ながら説明を加えていく手法をとればよい。  

ノートを作っていると、本ごとの長所・短所が表に現れ、各本が互いに補っているのがわかるはずだ。著者によって本に個性が出ている。  

ノートに図や表、詳しい説明は書かなくてもよい。全体の流れが明確になり、本人が理解できればよいのだ。ノートに注を付け、どの本の何ページに書かれているかを明記する。知りたいときには専門書を参照すればすむ話だからだ。  

自分で考えながらまとめていくので、細かい部分まで目が届く。実際に書き出す作業をすることで理解が深まり、新たな疑問点が出てくる。このことは学習にとってマイナスではなく、プラスである。わかったつもりになっていただけで、本当に理解していたわけではなかったのだ。  

この作業は人に教えるときに似ている。わからない人に教えようとすると、まず何を最初に話せばよいか考える。順序よく説明するには、内容の大まかな流れがわかっていなければならない。自分が細部まで理解していなければ、相手に伝わらない。これと同じことを紙上で行うのが、まとめる作業である。実際の会話と違って質疑応答がないので、問題点を指摘されない欠点もあるが、理解しているか確認する簡単な方法である。  

このメモを取りノートを作る作業を精読の段階でする人がいる。そう説明する書籍もでている。本の精読の項に加えなかった理由は、一つの本についてノートを作っても効果的ではないからだ。本それぞれに長所・短所があり、癖がある。一冊ごとにノートを作るのは骨である。たいていの箇所はほかの本と重複する説明があるからだ。癖のある本を一つずつまとめるよりも、全体を見回してノートを作ったほうがはるかに有益な資料となる。一つの学問をする過程でノートを作っているのであって、書評を書いているわけではないのだ。  

ノートを作っていると、必要な情報のすべてが手元にある本に書かれていないことがわかってくる。  

これから新たな情報源を探し出す段階に突入する。

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