雨宮勇徒の研究室教育問題

学校・教師の役割

学校・教師の役割

これから新要領の導入やこの章で提言している改造論による教育によって、学校側はどう変わっていくべきか述べる。  

まず現状の学校について考えてみる。教育ジャーナル2001 4月号の校長へのアンケートから抜粋していく。  

2001年の教育課程を遂行するにあたって、現在の教員に満足していますか、という問いに対して中学校13%、小学校15%が「はい」と答えており、一番の不満は、教員の人数が小学校53%、中学校50%。教員の資質が32%、34%であった。  

担任配置に満足していますか、という問いに、小学校73%、中学校88%が「いいえ」と答えている。また指導力のない教員、資質のない教育への対応が注目されています。「免職させられる」ことについて賛成ですか、という問いに、中学校66%、小学校が73%が「はい」。指導力がない、資質がないといわれる教員を、管理職としてどのようにリードしていくか、という問いに、再教育を受けさせるという意見が最も多かった。  

現在の学校では、教員不足が深刻のようだ。免職に過半数が賛成していても、資質のない教員に対する対応の上位に含まれていない。担任配置の満足度にその結果は表れていて、教員に対する台所事情は厳しい。  

教師がペアを組んで指導するT・T(チーム・ティーチング)を導入しているか、という問いに、中学校77%、小学校78%が「はい」と答え、またT・Tに希望通りの教員が配置されたと答えたのは、小学校63%、中学校51%であった。T・Tの問題点について、各教員の意思の疎通が中学校57%、小学校51%。教科・指導内容の選定が17%、14%。各教員の指導力の差が15%、13%であった。  

やはり教師不足や時間不足がひびいている。一刻も早く教師の数を増やす必要があるようだ。  

この教師の問題は新要領が導入されると、さらに深刻になる。総合的な学習の時間の準備や指導に力を入れながら、授業内容の3割削減によって習熟度別学習が不可欠になってくる。また中学では選択教科が導入されるため、ますます仕事が増えるわけだ。

「選択教科」の内容は何ですかという問いに、学校で決めた内容を生徒が選択75%、生徒の希望23%。「選択教科」の内容で問題点は構成上希望に答えられない67%、環境が未整備28%であった。  

また民間からの教員登用について、大いに登用すべきが中学校43%、小学校41%。教員なみの指導力があればがともに34%。教育現場が混乱が19%、20%であった。 

新要領の変化に対応するためには、民間からの教員や非常勤教員の登用、人材バンクの利用を含めた教師・指導者の増加が不可欠である。また、総合的な学習や選択教科の導入により、ただ教えればよいだけではなく、様々に変化する生徒の要求に対処していく教師の資質や意識も重要になってくる。  

改造論の教育が実施されると、教師は指導者というよりも子供たち一人ひとりに目を配り、個々にあった助力をする支援者という意味合いが濃くなる。教師の知らない知識について指導せざるをえない事態も想定されるため、柔軟性を持った教師の資質の育成が重要なのだ。  

教師をめざす学生の養成教育も変化が求められる。学級崩壊に対応し、教科書の指導だけではなく、必要とされる新しい知識を日々吸収していかなければならない。  

新米教師に十分な能力を身に付けされるため、大学卒業後、または最終学年で1年間実際の学校で指導する「実習講習」を行うべきだ。医者のインターンと同様の感覚で、数箇所の学校で様々な実体験を得ることで、教師としての資質を開花させる期間を十分にとらせたほうがよい。実際に経験させて、自分に向いていないとわかれば別の道を歩めばよいし、1年間で足りないのであれば、期間を延長して子供たちを支援するのにふさわしい教師になれるまで根気よく教育できる制度を導入するべきだ。  

学校が抱える問題の一つに学級崩壊があるが、教師がどのような対処をしていけばよいのだろうか。  

学級崩壊やいじめの防止を目的に、小学校低学年を中心に少人数学級制度を独自に導入している自治体が増加している。40人学級ではなかなか一人ひとりの生徒まで目が届きにくいという意見も多く、複数人学級との併用することで、教師の負担が軽減される。  

学校は一種の社会であるので、集団生活をする上でのルールを守らせる訓練を、小学校の低学年で徹底する必要がある。この時期にしっかりとした躾をしておかないと、学力低下と同様にずるずると規律が身に付かないまま成長してしまうおそれがある。問題のある生徒がクラスにいて授業の進行を妨げる場合には、先ほどの少人数・複数人学級の導入や、親との対話をし、家庭での教育の見直しを指導するといった処置をしていくべきである。 

新要領では学校・教師側の裁量の範囲が広くなる。指導要領の内容が最低基準になり、総合的な学習の時間が始まる。力量の差がそのまま教育に反映することになる。  

各学校が自分のところではどのような教育を行っているか情報公開し、ほかの学校の参考になるようにするべきだ。今回の教育改革で大きな方向転換を強いられ、手探りの状態で進めていかなければならない部分もある。教師は全国の学校でよい結果が得られた方法を取り入れたり、一つの学校内だけではなく他校と連携してよりよい教育方法を模索する努力が必要だ。奥の教師が集まることにより、不安が軽減しよいアイデアが出やすくなる。物理的な距離の差はいまでは通信技術の進歩でなくなったといってよい。一人で問題を抱え込まないで、多くの人と一緒に解決していくのだ。

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