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狂牛病


 狂牛病(牛海綿状脳症 BSE enceph alopathy bovine spongiform) は、英国で1986年に発見された牛の病気で,脳がスポンジ状になり神 経症状がでて死に至ります。原因は異常プリオンとされています。

プリオンは、感染性の遺伝子を含まないたんぱく質で、発見者であ る米国のS.B.プルシナーがたんぱく質性感染粒子(proteinaceous in- fections particle)と命名した略称です。無害な正常型と病原体となる 異常型(スクレイピー型)があり、元々生体内にある正常型に、異常型 が接触することにより、連鎖的に異常型へと変異していきます。

 スクレイピーとは羊に起こる病気で狂牛病と同じ症状を示し、300年 前からあるといわれています。

 狂牛病の発生原因は、スクレイピーを含む羊の脳や骨から作られた 肉骨粉が、発育を良くするため牛に与え、それを食べて感染した牛を 含むものから作られた肉骨粉が,牛へと与えられ、肉骨粉内の異常プ リオンが増加し狂牛病が広がっていったのだと考えられます。

 欧州で流行した病原体(異常プリオン)と日本で見つかった狂牛病と のたんぱく構造が一致し,輸入した肉骨粉から感染したものと考えられ ています。羊のスクレイピーの場合は、約20種類が報告されていて、狂 牛病では1種類しか発見されていません。

 食用などに利用してはいけない特定危険部位は、脳、脊髄、目、小腸 の先端(回腸遠位部)の4つです。この部分以外から感染性は今のとこ ろ確認されていません。

 人間が異常プリオンを摂取することで引き起こされる変異性ヤコブ病 によりこれまで英国で約100人が亡くなっています。それは危険部位で ある脳を食べる習慣があり、脳や脊髄が安いハンバーガーやソーセー ジに混入していたため発症したのだと考えられています。また種の壁と いうものがあり、牛から人間にはかかりにくいようです。マウスの場合、 牛に比べて1000倍感染効率が低く、サルの場合潜伏期がマウスに比 べて3倍長いのです。

日本で年間、古典型のヤコブ病で100人の患者が発生しています。 世界での死亡率は100万人に1人前後です。変異型のヤコブ病では、 狂牛病の発生が18万頭の英国でも500万分の1程度なのです。変異 型になる確率は0でないにしてもかなり低いことがわかります。

政府の安全宣言の後でも風評被害は続いているようです。対応の悪さ が大きく後を引いています。狂牛病について正確な知識が定着すれば、 牛肉へと戻っていくのではないでしょうか。私の場合、狂牛病騒動の時 でも何ら変わらず、牛肉を食べていました。

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