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たんそ菌

 たんそ菌(bacillus anthracis)は数ミクロンの長さの細長い形をした細菌 で、芽胞という胞子状になると乾燥や熱、紫外線に強く、長く土壌中などに 生存しています。通常の自然界では、牛が口にしたり人間の傷口から入っ て感染します。

 現在、テロで使われているのは、芽胞を吸い込んで感染しやすいように 特殊な化学物質で加工されたものだということがわかっています。この技 術は米国、旧ソ連、イラクの三国しか持っておらず、犯人の特定が見込ま れます。

 肺たんそを発症するには8千〜1万個の菌が肺に入り込まなければしな いと考えられていたのですが、細かい粉末状であるため他の郵便物に撒き 散らされたものでも感染例があり、ごく少量でも感染する可能性があること が不幸にも証明されてしましました。

 このたんそ菌は元々北米大陸の土中から発見されたもので、毒性が非 常に強い特徴があります。生物兵器用に、抗生物質に耐性をつけるため遺 伝子操作された形跡は無く、感染しても治療が行えるのが唯一の救いです。

 たんそ症に感染すると、肺たんその場合1〜7日程度の潜伏期間の後、風 邪のような症状が出て呼吸障害などの本格的な発症へと移行します。呼吸 障害が出る前に抗生物質を投与すれば治癒する事が多いようです。

 次に、手紙が伝達媒体の時の対処法を示します。

     
  1. 郵便物、特にエアメールの表面にたんそ菌が付着している場合のほうが、直接送りつけられるよりも確率が遥かに高いので、外から郵便物を持ち帰 った後は手を洗う。手で鼻などを触って肺へと入っていくのを防ぐため。
  2.  
  3. 白い粉が同封されていたら、中のものが周りに拡散しないように密封する。石鹸でよく手を洗い、衣服を密封、シャワーを浴びる。その後、警察へ 通報する。

 たんそ菌は傷口に入るか吸い込んで肺に入るかしないと感染しません。(腸 たんそもあるが危険性が低い)たとえ感染したとしても、白い粉を触れた時点 で抗生物質を投与すれば大丈夫です。焦らず冷静な対応をする事が一番の 対処法であります。

 二番目の対処が大袈裟だとおもわれるかもしれません。それは、接触した たんそ菌が遺伝子操作や突然変異で抗生物質に耐性がある可能性があるか もしれないからです。それを知らずに耐性のある抗生物質を投与されて、きか ずに悪化してしまう恐れがあるのです。白い粉を目にした場合にはそのくらいの 対応が必要だと思います。

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